研究課題
本研究の目的は、生理活性ペプチドの一種であるグルタチオンが植物の根において機能し、植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制する現象の分子メカニズムを明らかにすることである。これまでの研究によって、植物体の根に与えたグルタチオンが根からのカドミウムの排出を活性化していることが明らかになった。この植物根からのカドミウムの排出に対するチオール化合物の影響を調べたところ、これまでの実験ではグルタチオンが最も効果的であることを確認することができた。また、植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制する効果は、根に与えるグルタチオンの濃度によって異なることが明らかになった。この実験結果は、植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制するためには、植物根に一定量以上のグルタチオンを与える必要があることを示している。これまでのポジトロンイメージング実験の結果から、植物体内におけるカドミウムの移行では地上部の基部が重要な働きをしていることが明らかになっている。この部位はナトリウムなどカドミウム以外の物質の体内分配にも大きな影響を及ぼしている。そして、この部位においてもグルタチオンが機能して、植物体内におけるカドミウムの分配を抑制していることを示唆する実験結果が根分け実験によって得られた。このような実験結果はグルタチオンが植物の根におけるカドミウムの排出の活性化だけではなく、複数の場所で機能して植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制していることを示している。根におけるグルタチオン合成能を高めるためにグルタチオン合成に関連する酵素の遺伝子を導入した形質転換体の作成では、系統選抜を一層進めていくことができた。その結果、根におけるグルタチオン蓄積量が野生株と比較して有意に増加している系統を得ることができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本土壌肥料学会誌
巻: 84 ページ: 136-141
The Proceeding book of the International Plant Nutrition Colloquium (IPNC) and Boron Satellite Meeting
巻: なし ページ: 689-690
http://www.akita-pu.ac.jp/stic/souran/scholar/detail.php?id=41