研究課題/領域番号 |
23380200
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
人見 清隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (00202276)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 酵素 / 蛋白質架橋 / 細胞機能 |
研究概要 |
1.新規蛋白質架橋化酵素の高反応性基質配列の活用による活性の検出:蛋白質架橋反応を担う酵素、トランスグルタミナーゼには8種のアイソザイムが存在する。このファミリーのうちで新規な酵素群(TGase 6、TGase 7)について基質検索(精製)を行い、生理機能解明への手がかりとすることが目的であった。両者についての高反応性基質配列を得ており、平成24年度はこれを活用して基質が存在する組織の検討を行った。TGase 6, TGase 7遺伝子発現する組織を、皮膚 (TGase 6)、腎臓(TGase 7)と特定していたが、基質ペプチドを用いてまず、これらの組織中に酵素活性が存在することを調べた。その結果、それぞれ皮膚と腎臓に活性を検出できた。またビオチン標識された基質ペプチドを取り込んだタンパク質(基質)を複数分子、検出することができ、精製のための予備的条件と給源を決定できた。また、発現解析のためのモノクローナル抗体もTGase 6 について数種得ることができた。 2.モデル生物を用いた蛋白質架橋化反応の生理的意義の解析:モデル生物、メダカを対象に蛋白質架橋化酵素について解析した。5種の遺伝子がある事を明らかにしていたが、新たに2種を見出した。前年度より見出していた各TGase については、組換えタンパク質を作製した。前年度(ヒト皮膚型に相当)に続き、別の相同遺伝子(ヒト血液凝固に相当)の発現欠失変異体を作製した。 3.蛍光ペプチドによる細胞・組織での活性発現解析:前年度より行っていた、胎児の発生段階に伴う活性発現パターンを、免疫染色によるタンパク質レベルの発現パターン解析と共に完了した。最終目的としてのFRET現象を用いての細胞内活性システムについては、ペプチドと蛍光タンパク質との融合タンパク質の作製を行い、活性検出を行えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規な架橋酵素の基質の探索に向けて、給源とする組織を決定した。精製条件の検討までには至らなかったが、精製すべき分子種を決めることができた。(2)メダカについては、変異体を作製を終えて、その表現型を現在解析中であり、生理機能解析や疾患モデルへの活用が期待できる。(3)蛍光ペプチドによる解析は、個体レベルの検討を完了したが、細胞レベルでの活性検出系の活用は、試験管レベルでの活性検出に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
いずれの項目も、予定通りに進んでおり大きな計画変更はない。平成25年度は、基質ペプチドを活用した基質の検索を行い、新たな基質の同定と生理機能解明への情報提供を勧めたい。モデル生物のメダカについては、2種の主要なアイソザイムの欠損変異体の確立が予定されており、表現型の解析に集中して、疾患モデルとしての確立ができるかどうかを明らかにすると共に、新規機能の解明の観点からも検討する。これらによって細胞機能に蛋白質架橋反応の生理的意義を明らかにする。蛍光標識基質ペプチドは、有効な融合タンパク質としての作製が完了したので、細胞内発現を試みて、当初の目的である細胞内活性検出を行う予定である。
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