研究課題/領域番号 |
23390002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根東 義則 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90162122)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有機触媒 / 芳香族複素環 / オニウムアミド / 脱プロトン化 / 炭素アニオン / エナミノン / インドール合成 / 閉環反応 |
研究概要 |
有機触媒プロセスとして系内で発生させるオニウムアミドを触媒とする選択的な分子変換反応の開発を行い、芳香環上の脱プロトン化-修飾反応の開発を行った。オニウムとしてはこれまでの研究で、ホスファゼニウムが最も優れていることが明らかになっているが、ホスファゼニウム塩は高価であるためより入手が容易なテトラメチルアンモニウム塩を用いて反応の再検討を行った。その結果、反応性は低下するものの反応条件を再検討することにより、ある程度実用化が可能であることが判明した。芳香環の修飾反応以外にも側鎖の変換反応についても検討を行い、カルボニル化合物との縮合により二重結合を容易に構築できることがわかった。同様の反応を酢酸エステル類とホルムアミド類の縮合反応に適用することにより、エナミノン類の合成も行った。エナミノン類はさまざまな複素環化合物の閉環材料として有用であり、利用価値の高い反応を開発できたものと考えられる。また、系内発生オニウムアミドが、Madelung型のインドール合成の閉環上件として有効であることも見出され、これをきっかけとして銅触媒アミド化反応と組み合わせた新しいインドールの一工程合成法の開発も行った。金属触媒反応と有機触媒反応を効果的に組み合わせることにより、精密な分子変換反応が設計できることが示され、さらに多様な組み合わせを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機触媒を用いる芳香環の脱プロトン化-修飾反応の開発について研究はおおむね順調に進展していると考えられる。オニウムアミドについても、発生法、アミド窒素上の置換基の効果、オニウムの構造と反応性などについて理解が深まりつつあり、さらに新たな反応開発につながるものと考えられる。徐々に適用範囲も拡大しており利用価値の高い合成手法として確立しうるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究ではオニウムアミドを用いて芳香環上の脱プロトン化を行うことができるかどうかの実現性を明らかにすることが中心であったが、今後はより幅の広い適用範囲の拡大を目指して展開性に重点をおいて研究を進める。芳香環のpKaと脱プロトン化が可能なさまざまな芳香複素環の部位を明らかにし、また用いることのできる親電子剤の範囲を拡大する。さらに、金属性の試薬との組み合わせにより効果的な分子変換を高い選択性で達成できるように精密な反応設計を行う。
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