研究課題
本研究では、poly(ethylene glycol)-poly(L-lysine) (PEG-PLL)ブロック共重合体とsiRNAによって形成される一分子siRNAキャリアを構築し、腎疾患、がんなどの疾患治療に展開することを目指している。最終年度となる本年度は、in vivo応用のための構造最適化を行った一分子siRNAキャリアが固形がんに効果的に集積し、均質な腫瘍内分布を示すことを、蛍光標識siRNAを用いた実験により明らかにした。前年度に確認されたsiRNAのデリバリーに基づく抗腫瘍効果が標的遺伝子(Plk-1, VEGF)のノックダウンに基づくことを確認した。一方、一分子siRNAキャリアの腎疾患治療への展開に関しては、腎障害合併高血圧モデルに対して、チロシン水素化酵素(TH)標的siRNAを一分子siRNAキャリアにより投与した結果、メサンギウム領域のTH発現が有意に減少し、糸球体病変の改善と尿蛋白、尿アルブミンの抑制が確認された。最後に、環状RGDペプチドを導入した一分子siRNAキャリアについては、ブロック共重合体が動的な交換反応を示すことが示唆された為に、前年度よりリガンド-PEG-siRNAの開発に取り組んでおり、現在までに順調に進捗している。以上のように、本研究では、siRNAキャリアのがんと腎疾患の動物モデルの治療における有用性を実証し、当初目標をほぼ達成することができた。一分子siRNAキャリアは、他のキャリアシステムと比較して、(i)明確な構造と製造容易性、(ii)優れた血中滞留性、(iii)標的組織への特異性、(iv)優れた組織浸透性等の様々な利点を有しており、今後は実用化を目指した研究を展開していく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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