研究課題/領域番号 |
23390010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40273437)
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研究分担者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00547870)
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30171432)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核酸 / ナノ粒子 / DDS / CpG / siRNA |
研究概要 |
本研究では、核酸医薬を含む機能性核酸の疾患治療効果の飛躍的向上を目的に、多足型構造を形成する核酸-polypodna(ポリポドナ)-を設計・開発するとともに、これを連結することで新規デンドリマー型核酸ナノDDSを創出することを目的とする。これまでに、3~12本の36塩基からなるオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を用いた検討から、tripodna(pod数3)からoctapodna(pod数8)までは構築できるものの、pod数12のdodecapodnaは形成されないことを見出した。高速原子間力顕微鏡による観察の結果、形成が確認できたpolypodnaは、設計通りの多足型構造体であることが確認された。次いで、蛍光標識ODNを用いてpolypodnaを構築し、DNAを効率よく取り込むマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞による取り込みを評価した。その結果、pod数が増加するにつれてpolypodnaの細胞取り込みは増大した。そこで、Toll様レセプター9(TLR9)に認識されることで免疫細胞からサイトカイン産生を誘導するCpG DNAを核酸医薬として選択し、これを含むpolypodnaを用いてTLR9陽性のRAW264.7細胞からの腫瘍壊死因子α(TNF-α)およびインターロイキン6(IL-6)の産生を評価した。その結果、1本鎖CpG DNA、2本鎖CpG DNAでは微量のサイトカインしか産生されなかったのに対し、polypodnaの添加により多量のTNF-aおよびIL-6産生が認められた。さらに、末端にループ構造を付与したtetrapodnaや、polypodnaを連結することで構築可能なDNA dendrimerを種々設計し、hexapodnaをコアとするDNAナノ粒子の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた内容については順調に成果が出ている。siRNAなどの機能性核酸の組み込みに関してはこれからになるが、一方で、予定していなかった核酸構造体の構造解析に関しては非常に興味深いデータが得られ、予想外に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画通り、機能性核酸を組み込んだシステムの開発を進めるとともに、これまでに明らかとすることに成功した構造解析についても検討を進めることで、多足型構造を形成する核酸を基盤とする核酸ナノDDSの開発を進める。
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