研究課題
核酸は抗体医薬に次ぐ第三世代の医薬品として期待されている。実用化の鍵は送達キャリアの開発にあるが、臨床応用可能なキャリアの開発は進んでいない。これは、薬理効果の優劣によって評価が行われ、免疫反応などの相互作用に関する評価が行われていないためである。本研究では、既に我々が確認し、臨床的に問題となりうる、核酸・キャリア複合体投与時の初期免疫活性化の機構を明らかにし、臨床応用可能な核酸・キャリア複合体の開発を試みる事を主たる目的としている。当該研究期間において、以下のような成果を得た。pDNA搭載PEG修飾カチオニックリポソームによる高いanti-PEG IgMの分泌は、Toll-like receptor 9(TLR9)を介した免疫刺激によるものであり、一方siRNA搭載PEG修飾カチオニックリポソームによる同様のanti-PEG IgM誘導は、TLR-7を介した免疫刺激によるものであることを明らかにした。これまでの検討において、anti-PEG IgM分泌誘導において、共存する薬物が影響を与えることを明らにしてきた。抗がん剤のオキサリプラチンを併用した場合、anti-PEG IgMの分泌抑制効果およびサイトカインの分泌も抑制することを示したが、オキサリプラチンなどの抗がん剤が核酸のTLRを介した刺激を抑制する事を裏付ける結果であり、今後の臨床で安全に使用する上で重要な知見が得られたものと考えている。また、悪性胸膜中皮腫皮下移植モデルにおいて、細胞増殖に係る酵素に対するshRNAと既存の抗がん剤を組み合わせ治療を行い、極めて高い抗腫瘍効果が得られることも確認した。In vivo治療用核酸送達キャリアのデザインにも成功することができたと考えている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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