研究課題/領域番号 |
23390015
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松田 正 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20212219)
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研究分担者 |
室本 竜太 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30455597)
今 重之 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90344499)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | がん / 免疫 / シグナル伝達 / サイトカイン / 炎症 / 自己免疫疾患 / STAT3 / NF-kappaB |
研究概要 |
生体の恒常性の維持にはサイトカインの存在が不可欠であり、中でも炎症性サイトカイン、インターロイキン6(IL-6)の異常産生やシグナル異常は癌、自己免疫疾患の発症に深く関与している。申請者はIL-6のシグナル分子STAT3の活性化及び活性化制御に関与する多くの分子を同定し、機能解析を行ってきた。本研究ではSTAT3と炎症応答を制御するNF-kappaBとの機能的相互作用の解析を中心に生体内STAT3制御法の確立を目指し、本年度は以下の研究を行った。1.STAT3結合蛋白のSTAT3機能への影響解析 これまでSTAT3制御因子としてY14を同定したが、Y14がNF-kappaBの活性制御にも関与する新規機能分子であることを明らかにした(論文投稿中)。2.STAT3とNF-kappaBとのクロストークを指標にしたSTAT3制御機構の解析 これまで核内蛋白KAP1がSTAT3、NF-kappaB、p300等と相互作用し、TNF/NF-kappaB依存的な炎症性サイトカインIL-6の遺伝子発現を制御することを見い出し報告したが、今回STAT3によるNF-kappaB活性化調節にSTAT3のセリンリン酸化が関与することを明らかにした。3.STAT3結合蛋白の新規機能解析STAT3の活性化を制御するSTAT3結合蛋白STAP-2が免疫系T細胞の活性化細胞死やCML慢性骨髄性白血病の原因蛋白BCR-ABLの活性化に関与することも明らかにした。さらに植物性イソフラボンが免疫系細胞においてSTAT3の活性化を誘導し、炎症性サイトカイン産生を増強することも世界で初めて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
STAT3制御蛋白がNF-κBの機能調節に関与することを世界的レベルの雑誌に報告することができ、現在も引き続き研究は進んでおり、いくつかの論文はすでに投稿中であり、発表できることを確信している。
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今後の研究の推進方策 |
STAT3制御蛋白がNF-κBの機能調節に関与については主に細胞レベルでの解析が中心であるが、より生体内での機能解析を進めるために遺伝子改変マウスの作成やin vivoでの動物実験等を充実させていく予定である。
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