研究課題
本研究では、クロストークする“細胞の生死を制御するSAPK/JNKシグナル系”と“器官のサイズを制御するHippoシグナル系”がマウ スの肝再生や肝病態(繊維化や癌)に与える影響の解析に加え、既に単離済みの肝形成・肝機能不全メダカ変異体の解析を行い、胆汁 の分泌, 吸収栄養分の濾過と解毒, 糖の貯蔵と血糖の調節などを行う必須の器官でありながら、未だ不明の点の多い肝発生・肝再生お よび肝疾患発症に関わるシグナルネットワークの解明を目的とする。最終年度となる本年度は、これまで得られた研究成果の仕上げを行った。 圧力を利用したマウス尾静脈からの遺伝子導入法「HTVi法」を用いて、Hippoシグナル系を破綻させた新たな肝病態モデルマウスを作 出した。肝臓のサイズを制御するHippoシグナル経路の標的分子YAPを活性化すると、肝細胞がんが誘導されることを見出した。Hippo シグナル系が肝臓のサイズの制御を通じて、がん抑制に関わっていることを示す結果である。また興味深いことに、この過程には「細胞競合」という細胞の品質管理機構であるが関与している可能性を見出した。肝疾患を細胞レベルの品質管理という観点から治療する 戦略の動物モデルとして、また、肝細胞がんの前駆/幹細胞を同定可能な実験系として期待される。英文原著論文作成を行っている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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