研究課題/領域番号 |
23390019
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
|
キーワード | 神経突起 / Rho / Rnd / p190RhoGAP / ラフト / 突起伸長 / 突起退縮 / 細胞膜 |
研究概要 |
記憶や学習など複雑な高次機能の基盤となる神経回路は、神経細胞が軸索と樹状突起を伸ばし、ターゲット細胞とシナプスを形成して完成する。このように、神経回路形成において、特徴的な神経突起伸長は必須であり、その神経突起伸長は低分子量G蛋白質Rhoファミリーにより調節されている。Rhoファミリーには様々な分子があり、その中で、Rndサブファミリー(Rnd1、Rnd2、Rnd3)は中枢神経系に主要に発現しており、様々なニフェクターを介して神経細胞の形態を含めて神経機能の調節に関わっている。3つのRnd分子の中で、Rnd1とRnd3はRhoの活性を抑制して、神経突起の伸長を促進するが、Rnd2はRhoの活性を促進して、神経突起の退縮を引き起こし、Rnd分子群はRhoの活性を正と負の活性調節を行い、アンタゴニスチックに働く調節機構であると考えられる。しかし、invitroにおいて、Rndは全てRhoのGAPであるp190RhoGAPに結合し、Rhoの活性を抑制する能力があった。そこで、この分子機構を明らかにすることにした。Rnd1とRnd3はRnd2と異なり、ユニークなN末端配列を持つ。この意味を解析したとごろ、Rnd1とRnd3は細胞膜のラフトに局在するが、Rnd2はラフト以外に局在し、Rnd2にRnd1のN末端を付加したところ、ラフトに局在するようになり、Rnd1とRnd3のN末端の配列がラフト局在シグナルになっていることがわかった。また、Rnd1とRnd3はp190RhoGAPをラフトに移行させ、Rhoの活性を抑制するが、Rnd2はp190RhoGAPをラフトに移行させることができず、Rhoの活性を抑制しないが、RndlのN末端を付加した分子は、p190RhoGAPをラフトに移行させ、Rhoの活性を抑制したので、Rnd1のN末端が、ラフト移行シグナルで、Rho抑制機能の発揮に関与していることがわかった。このことから、分子の機能発現には分子の細胞膜への局在の特異性が重要な役割を果たしておることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、神経突起伸長に必須な分子、RhoファミリーのRndサブファミリーの機能を明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、、計画通り進め、次年度以降で、Rhoファミリーを含めた低分子量G蛋白質の神経突起ファイダンスシグナルにおける役割を解明していく。
|