研究課題
腸やその関連リンパ組織にはレチノイン酸(RA)を産生する樹状細胞(DC)が存在し、RA依存性にT細胞の移動と機能分化を制御することで腸管免疫を制御する。しかし、RA産生の鍵を握るretinal dehydrogenase 2 (RALDH2)の発現誘導の分子機構は不明だった。マウスRALDH2遺伝子上流のプロモーター領域にはCpGリッチな領域が存在し、その特定部位への転写因子Sp1の結合がプロモーター活性を促進することをこれまでに明らかにした。このCpG領域をメチル化するとSp1による促進効果は抑制された。一方、正常マウスのDC、マクロファージ、T細胞においてはこの領域はほとんどメチル化されていなかった。しかし、サイトカインGM-CSFは、RAの存在下でconventional DCには強くRALDH2発現を誘導するが、plasmacytoid DC、マクロファージ、およびT細胞にはほとんど誘導しなかった。従って、他の転写制御機構の存在が考えられた。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤がGM-CSFによるRALDH2発現誘導を阻害したことから、ヒストンまたはSp1などのアセチル化がRALDH2発現誘導制御に関与することが示唆された。また、RALDH2プロモーター領域にはRA応答配列half-siteが存在し、RA受容体(RAR)/レチノイドX受容体(RXR)がこの配列に結合すると、RA依存性に転写が促進されることを見出した。このプロモーター領域近傍の塩基配列は、ヒトを含む哺乳類において良く保存されており、互いに共通の機序でRALDH2発現に必要なRAシグナルを制御していることが示唆された。さらに他の転写因子の寄与を示唆する結果も得ている。これらの結果に基づき、Flt3リガンドでマウス骨髄細胞から分化させたDCを用いて、高いRA産生能を持つDCを分化誘導する系を構築・改良した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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