研究課題/領域番号 |
23390027
|
研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
|
研究分担者 |
村田 和義 生理学研究所, 脳機能計測支援センター, 准教授 (20311201)
|
キーワード | 細胞死 / 白血病 / ペプチドミメティック / ケミカルバイオロジー |
研究概要 |
申請者が見出した2つのハイブリッドペプチド(HybP1、HybP2)を化学ツールとして白血病細胞における「非アポトーシス型細胞死」の生化学的解析およびペプチドミメティック化合物の創製に取組んだ。 1.HybP1で誘導される細胞死におけるアポトーシスの関与 白血病細胞株Jurkat-TをHybP1で処理した際にアポトーシスが起きていないかどうか、(1)ホスファチジルセリンの細胞外露出、(2)実行酵素カスパーゼ3の活性化、(3)カスパーゼ阻害剤による抑制効果を調べた。いずれの解析においてもアポトーシスは観察されなかった。また、形態学的にもアポトーシスの特徴は見出せなかった。本ペプチドで誘導される細胞死にアポトーシスが関与しないことを再確認した。 2.HybP1処理で細胞外漏出するタンパク質分子の解析 ウェスタンブロット法により、HybP1により死滅したJurkat-T細胞において細胞内に留まる分子と細胞外に放出される分子を解析した。可溶性タンパク質の他、核構成タンパク質の著明な細胞外漏出がみられ、本細胞死の大きな特徴と思われる。 3.HybP1のペプチドミメティック化合物の創製 白血病細胞移植モデルマウスへの投与を考慮し、Dアミノ酸を導入したペプチドミメティック化合物を作製した。活性に不可欠なアミノ酸を絞り込んだ結果、オリジナルペプチド25残基から全てDアミノ酸に置換した13残基のペプチドミメティック化合物を合成できた。細胞死誘導活性を調べた結果、オリジナルより活性が高いことがわかった。 次年度は、ネクローシスとの関連性を中心に本細胞死の特徴を比較解析するとともに、ペプチドミメティック化合物の治療効果について腫瘍移植マウスを用いて調べる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度実験計画のうち、ペプチドが結合する受容体の解析は進展しなかったが、オリジナルペプチドよりも高い活性を持つペプチドミメティック化合物の作製に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度はネクローシスとの関連を中心に、HybP1で誘導される細胞死の形態学的、生化学的解析を進める。 また、ペプチドミメティック化合物が得られたので、これを用いて白血病移植モデルマウスを使った治療効果の検証行う。さらに、計画が遅れている「ペプチド受容体の同定」も積極的に進めて行く予定である。
|