研究課題/領域番号 |
23390029
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 良雄 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (10322562)
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研究分担者 |
山崎 有理 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70459725)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ペプチド創薬 / 難治性疾患 / 抗がん剤 / プロドラッグ / 創薬化学 / 遺伝子疾患治療薬 / リードスルー薬 / システインプロテーアゼ阻害剤 |
研究概要 |
難治性疾患の一つである抗チューブリン抗がん薬の研究では、ペプチド型天然物フェインラヒスチンから創製した治験薬 Plinabulin の化学構造を基に「次世代高活性化合物」の創製を実施してきたが、本年度の研究にて、ベンゾフェノン環とジケトピペラジン環を併せ持つ構造を基に誘導を行なった結果、ピリジン環を付加した新規構造の発掘に成功した。そしてPlinabulin と同等の作用機構で殺細胞活性を発現していることを確認した。現在、特許出願および論文準備中である。 別の難治性疾患である遺伝病の治療薬研究では、ナンセンス変異に起因する Duchenne 型筋ジストロフィー治療薬を標的に、ナンセンスコドンの読み飛ばしを促進するジペプチド型抗生物質(+)-ネガマイシンに着目した誘導体合成を継続しているが、ネガマイシンを凌ぐ誘導体として、天然物でもある5-deoxy-3-epi-negamycin及びそのロイシン付加体を見いだした。そこで、これらをリード化合物とする誘導を更に進め、より高活性なTCP-112およびそのプロドラッグ体であるエステル誘導体の創製に至り、ネガマイシンを遥かに凌ぐ高活性な化合物群創製の糸口を掴むことができた。これらの化合物は国際出願を含む特許出願を行なった。今後更なる誘導及び分子レベルの作用機序研究を進める予定である。 一方、新しい作用機構に基づく筋ジストロフィー治療薬のペプチド創薬をめざし、その標的として筋肉の増殖抑制因子であるマイオスタチンのプロペプチドに注目し、研究を実施したところ、24残基のアミノ酸からなる新規マイオスタチン阻害ペプチドの発見に成功した。特許出願を終了し、論文作成中である。 また、SARSコロナウイルスのシステインプロテアーゼ阻害剤開発研究では、基質ペプチドから阻害剤合成を進め、新たに高活性なジペプチド型阻害剤の創出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤研究では、臨床治験薬Plinabulinより強力な誘導体TCP-113の構造活性相関研究が纏まり、論文掲載を完了、さらなる誘導体創製に移行した結果、新規な骨格創製にも成功した(特許準備中)。また、遺伝子読み飛ばし作用に基づくリードスルー化合物創製研究でも、ネガマイシンを遥かに凌ぐ高活性な化合物群の創製が進行中で、国際特許出願も完了したことから、成果は着実に挙っていると言える。また、新規な筋肉増強ペプチドも発見でき、ペプチドを基盤とする筋肉関連疾患治療薬研究が大きく前進している。さらに、SARSコロナウイルスシステインプロテアーゼ阻害剤の研究でも、強力なジペプチド型阻害剤の創製に成功し、論文掲載も完了したことから、本年度の目標は概ね達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ペプチド性小型分子を基軸に難治性疾患としてがん、遺伝病、感染症を取り上げ、それぞれの創薬研究を遂行しているが、今後も実用的な小型ペプチド創製研究を精力的に継続する。抗チューブリン作用に基づく血管遮断剤の創製では、新規骨格の構造活性相関により新たな高活性誘導体の獲得をめざす。遺伝病治療薬の創薬ではリードスルー促進薬の実用性探求を進める。ケミカルバイオロジー手法による標的分子及びその認識機構の解明も、遅れているが視野に入れ研究を進めたい。マイオスタチン阻害ペプチドについては、大変有望であり精力的に高活性誘導体の創製と高次薬理評価を実施する。SARSコロナウイルスシステインプロテアーゼ阻害剤開発では、ジペプチド型化合物が得られたことから、今後これを中心に更に構造の最適化を行なう。これらの研究を通じて、ペプチド性小型分子の創薬における重要性・意義を証明していきたい。
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