研究課題
ペプチド性小型分子を基軸に難治性疾患であるがん、遺伝病、感染症に対して創薬研究を遂行してきた。最終年度である平成26年度は実用的な小型ペプチドの創製を精力的に行なった。抗チューブリン作用に基づく血管遮断剤の創製では、新規骨格の構造活性相関を進め、結果を論文として発表した。ただし、国際特許出願に関してはJSTの助成を求めたが、叶わなかった。構造活性相関研究では、KPU-300を基にそのピリジン環構造を種々の含窒素複素環へと変換した。KPU-300の放射線療法増感剤としての有効性の探索では、水溶性プロドラッグへの変換を検討し、少量であるがプロドラッッグ体の合成に成功した。また、抗体-薬物架橋体(ADC)型の抗体医薬品開発を目指した誘導でも大きな進展があった。本結果は、平成26年度文部科学省革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業への採択に繋がった。遺伝病治療薬創薬では、リードスルー促進薬の実用性探求において、Leucyl-3-epi-deoxynegamycinのエステル型プロドラッグ(TCP-199) の効果をマウスにて検討した。その結果、個体レベルでもリードスルー活性を示すことを確認した。マイオスタチン阻害ペプチドについては、同等の活性を有するより小型のペプチドを複数見いだすことに成功した。24残基からなる阻害ペプチドについては、筋ジストロフィー病態モデルであるmdxマウスを用いた筋肉内投与実験で筋量増強を確認できた。SARSコロナウイルスシステインプロテアーゼ阻害剤開発では、阪大・微研神谷准教授との共同研究が始まり、我々の化合物が従来の酵素阻害活性のみならず、抗SARS及び抗MERS活性をも有することを初めて明らかにできた。4年間に渡る本基盤研究により有意義な成果を上げることができた。ペプチド性小型分子を基軸とした難治性疾患治療に新たな可能性を複数提案できたと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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