研究課題
尿毒症物質であるインドキシル硫酸は濃度依存性にSLCO4C1のmRNA発現を低下させた。またルシフェラーゼアッセイからインドキシル硫酸はSLCO4C1遺伝子発現を転写レベルで有意に低下さることが明らかとなった。このインドキシル硫酸によるSLCO4C1転写抑制作用はAhRの結合するXRE配列 より更に5’上流にある転写因子GATAの阻害剤K-7174にてキャンセルされた。一方、慢性腎臓病において腎性貧血は主要な合併症のひとつであり腎性貧血の病態はエリスロポエチン(Epo)産生の低下を基盤とすることが知られている。腎機能の低下がどのようにEpo産生に影響を及ぼすか については不明な点も多いが血液透析によって腎性貧血が改善したという報告があり、尿毒症物質がEpo産生低下を引き起こす可能性が考えられていた。そこで我々は低酸素条件下でエリスロポエチン(Epo)産生が誘導される細胞を用いてインドキシル硫酸を含んだ培地で培養しEpo産生への影響を評価したところ、インドキシル硫酸はEpo産生を有意に抑制した。次にマウスEpo遺伝子の5’上流域を用いたルシフェラーゼアッセイを行ったところ、インドキシル硫酸はEpo遺伝子の転写を有意に低下させ、このEpo転写抑制作用はSLCO41と同じ転写因子Ahrの阻害剤にてキャンセルされることが明らかになった。この結果は腎不全時においては尿毒症物質の蓄積はトランスポーターの発現抑制を起こし尿毒症物質の更なる蓄積が進行し、同時に貧血を惹起するという2つの作用があること、そしてそのどちらの作用も転写因子という共通のメカニズムを介していることを明らかにしたものであり、転写因子GATAの阻害剤K-7174やAhR刺激剤がトランスポーターの発現増強作用と貧血改善作用を併せ持ち、新たな慢性腎臓病の治療のストラテジーになり得ることを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Am. Soc. Nephrol.
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pii: ASN.2013091001. [Epub ahead of print]
Plos One
巻: 8 ページ: e66518
10.1371/journal.pone.0066518
巻: 24 ページ: 967-977
10.1681/ASN.2012101034