研究課題
本研究は、癌細胞に対する抗がん剤の薬理作用と耐性について、タンパク質発現を介する応答を研究するプロテオーム解析と細胞内代謝変動を介する応答を分析するメタボローム解析により、細胞内作用機序と耐性メカニズムを解明することを目的とした。薬理作用発現と耐性に関与するパスウェイ解析を通じて、抗がん剤反応性の個体差(レスポンダー/ノンレスポンダー)を予測しうるバイオマーカー分子を探索し、個別化投薬へ展開するための基礎的知見を得た。1)ヒト大腸癌細胞の薬剤応答のメタボローム解析:5-FUに対して耐性と感受性のヒト大腸癌細胞株を用い、5-FU曝露後に細胞内で生成する活性代謝物の濃度推移と内因性核酸代謝・エネルギー代謝に対する影響を解析した。耐性株は5-FUのリン酸化活性が低くチミジン生成は阻害されず、かつ酸化型グルタチオンの上昇により酸化ストレスへの抵抗力が強いと推察された。2)白血病細胞に対する核酸代謝拮抗薬の作用:ゲムシタビンあるいはシタラビン曝露後、ともに三リン酸化体が速やかに生成されたが、前者は核酸代謝を著しく阻害したのに対し後者はほとんど影響を及ぼさなかった。同じく核酸代謝拮抗薬とされる両薬剤の作用機序の違いをメタボローム解析で明らかにした。3)抗がん剤応答タンパク質のプロテオーム解析:オキサリプラチンに対する感受性の異なるヒト大腸癌細胞株を用いて、タンパク質二次元電気泳動と質量分析によって薬剤応答と相関する複数のタンパク質を見出した。バイオマーカー候補となるS100A10についてはノックダウンや強制発現によって薬剤感受性との関係を解析した。4)臨床検体の代謝物一斉分析:FOLFOX治療を受けた大腸癌患者の検体における代謝物質をキャピラリー電気泳動と質量分析装置により一斉分析した。得られた代謝物の動的変化から、抗がん剤曝露に応答して変化する特徴的な代謝物群を探索した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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