研究課題/領域番号 |
23390038
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 株式会社アミンファーマ研究所 |
研究代表者 |
五十嵐 一衛 株式会社アミンファーマ研究所, 代表取締役社長 (60089597)
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研究分担者 |
西村 和洋 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60302569)
柏木 敬子 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (80169424)
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キーワード | アクロレイン / 細胞障害 / 脳梗塞 / グルタチオン / 3-HPMA |
研究概要 |
1.脳梗塞モデルマウスを用いて、アクロレインと活性酸素がどのように細胞障害に関与しているかを解析した。脳梗塞後24時間で、梗塞巣のアクロレイン-蛋白質抱合体量は26倍上昇したのに対し、活性酸素のマーカーである4-ヒドロキシノネナール-蛋白質抱合体量並びに8-OHdG量の増加はわずか2~3倍であった。この結果は、アクロレインの方が活性酸素より脳梗塞時の障害に強く関与していることを示唆した。また、活性酸素はRNAよりスペルミンを遊離し、アクロレイン産生に寄与することが明らかとなった。 2.マウスNeuro2a細胞を用いて、アクロレイン毒性が約2倍低下した耐性株を分離した。この耐性株では、グルタチオン量が約2倍に上昇しており、細胞内ではグルタチオンがアクロレイン毒性を低下させる主成分であることが明らかとなった。そのメカニズムとしては、2種のグルタチオン生合成酵素(γ-グルタミルシスティンリガーゼとグルタチオン合成酵素)量が上昇しており、両酵素をコードしているmRNAの転写因子であるc-Jun及びNF-κBのp65のリン酸化の上昇によることが明らかとなった。 3.これまでに脳梗塞時には血中のアクロレイン抱合蛋白質量が上昇することを明らかにしてきたが、本年度はアクロレイン-グルタチオン抱合体の代謝物である尿中3-HPMA(3-ヒドロキシプロピルメルカプツール酸)量が脳梗塞時に低下することを明らかにした。すなわち、脳梗塞時にはアクロレイン解毒物質であるグルタチオン量が低下し、その結果としてアクロレインが蛋白質と抱合し、蛋白質を不活化することがアクロレインによる細胞障害の主たる原因であることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したように、研究実施計画は順調に進展している。しかし、ポリアミン酸化酵素の抗体作製に成功したが、感度の良いELISAキット開発にまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
アクロレインが高齢時の細胞障害因子として、活性酸素より重要であることを明確にし、アクロレインの細胞障害機序を分子レベルで明らかにする。 また、グルタチオンが通常アクロレインの解毒因子であり、高齢時にグルタチオンが減少することによりアクロレインによる細胞障害がおこることを明確にする。
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