研究課題/領域番号 |
23390038
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研究機関 | 株式会社アミンファーマ研究所 |
研究代表者 |
五十嵐 一衛 株式会社アミンファーマ研究所, その他部局等, その他 (60089597)
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研究分担者 |
西村 和洋 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60302569)
柏木 敬子 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (80169424)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アクロレイン / 細胞障害 / 脳梗塞 / アルツハイマー病 / GAPDH / マクロファージの泡沫化 |
研究概要 |
1.アクロレインが細胞障害を引き起こす際にどの蛋白質の不活化が起こるかをNeuro2a細胞を用いて検討したところ、GAPDHの活性中心に存在するCysがアクロレインにより修飾を受け不活化され、ATP合成が低下すると共に、不活化GAPDHが核に移動し、アポトーシスを引き起こすことが明らかとなった。 2.脳梗塞の前段階で動脈硬化が起こるが、動脈硬化にはマクロファージの泡沫化が強く関与している。マクロファージの泡沫化はLDLのマクロファージへの取り込みが関わっており、不飽和脂肪酸の酸化がLDLの取り込みを促進すると考えられていた。しかし、私共の実験では、LDL中のアポリポプロテインBがアクロレイン化され、このアクロレイン化されたアポリポプロテインBをスカベンジャー受容体クラスAタイプ1(SR-A1)が認識し、LDLを取り込み、マクロファージが泡沫化することが明らかとなった。 3.認知障害には脳委縮、脳白質病変が強く関与しているので、血漿中の蛋白質結合型アクロレイン(PC-Acro)が認知症のバイオマーカーとなるかどうかを、健常者77名、軽度認知障害者33名、アルツハイマー病患者34名の血漿を用いて検討した。その結果、認知症患者のPC-Acroはアミロイドβ40/42と共に、健常者に比べ有意に上昇していた。すなわち、画像診断とこの2種のバイオマーカーを併用すると、認知症の診断の精度が上昇することが明らかとなった。 4.グルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体は、Ca2+を輸送することにより脳梗塞に強く関与していることが知られている。私共はこのNMDA受容体のアミノ酸残基変異体を作製し、スペルミンの結合部位を同定した。スペルミンはGluN1とGluN2Bサブユニットの調節領域に結合し、GluN1とGluN2Bサブユニット間の間隙を拡げ、Ca2+輸送を促進することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したように、研究計画は順調に進展している。 細胞障害において、アクロレインが活性酸素より強く関与していることを証明する実験を、今後更に展開していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
アクロレイン量を減少させると、脳梗塞や認知症の症状が軽減することを明確にすると共に、副作用の少ない脳機能改善薬の開発を目指す。
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