研究課題
マウスは明暗(昼夜)サイクルの暗期に活動・摂食し,明期に休眠・絶食する。グルコースが枯渇する絶食期後半には,肝臓でグルコースを合成する糖新生系が活性化される。その主要な調節点は同系酵素遺伝子の転写段階にあり,コルチコステロンとグルカゴンにより活性化され,インスリンにより抑制される。しかし,同系遺伝子の日周性発現リズム形成におけるこれらのホルモン制御に関する知見は限られており,その解析を行った。通常食を自由摂取したマウスの肝臓において,糖新生系の律速酵素ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼのmRNAレベルは絶食期後期にピークを示し,グルコース-6-ホスファターゼや,アミノ酸から糖新生の原料を供給するチロシンアミノトランスフェラーゼのmRNAレベルは絶食期後期から摂食期中期にかけて上昇した。この際,血漿コルチコステロン濃度は絶食期初期から摂食期中期にかけて上昇した。グルカゴン濃度は変動を示さなかったが,インスリン濃度は絶食期に低下しグルカゴン/インスリン(G/I)比が上昇した。従って,コルチコステロンおよびG/I比の同系遺伝子日周発現リズム形成への寄与が示唆された。2晩絶食の飢餓条件下では,同系mRNAレベルが全体的に上昇し,コルチコステロン濃度とG/I比が全体的に著しく上昇した。一方,高タンパク質食(60%カゼインあるいは大豆タンパク質)では,通常食(28%タンパク質),15%各タンパク質食の対照群に比べ,特に摂食期に同系mRNAレベルの上昇が認められた。これは,高タンパク質食摂取時のグルコース不足を糖新生によって補償するためと考えられた。この際,コルチコステロン濃度,インスリン濃度の変化は軽微であったのに対し,グルカゴン濃度は摂食期に明らかな上昇を示した。以上より,コルチコステロン,グルカゴン,インスリンは栄養条件選択的な様式をもって糖新生系酵素遺伝子の日周性発現リズム形成に寄与することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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