研究課題/領域番号 |
23390051
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
八木田 和弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90324920)
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研究分担者 |
井之川 仁 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40285250)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 概日リズム / ES細胞 / 細胞分化 / RNA-seq |
研究概要 |
概日時計のリズム発振は受精卵や初期胚には見られず、胎生期に形成されることが知られているが、概日時計の発生メカニズムについては、現在までほとんど分かっていない。 最近、我々は、ES細胞を用いた独自に開発した解析法により、概日時計の発生は、細胞ひとつひとつのレベルで自律的にプログラムされていることを、世界で初めて明らかにした(Yagita et al, PNAS, 2010)。しかし、一方で胎生期の影響が、出生後の概日リズムの乱れなどにつながるという報告もあり、生体レベルでの概日時計の発生を理解するには、「細胞レベルの内在性プログラム」と「環境要因」の関係も含めた統合的研究が必須になる。本計画では、概日時計の発生メカニズムを、マウス胚を用いた発生工学とイメージング技術を駆使して、細胞レベルから個体レベルまで一貫した解析系を用いて、統合的に理解することを目的としている。 これまでに、遺伝子変異ES細胞バンクを用いて、概日時計の周期決定メカニズムを担う鍵分子の探索を行った。まず、コントロール実験として,変異によって周期異常が出現することが分かっている遺伝子変異ES細胞をin vitroで分化誘導し,形成される概日時計の振動を解析した。その結果,これまでノックアウトマウスで報告されている周期異常と同様の変化を示すことが明らかになった。さらに、他の遺伝子変異ES細胞でも検討したところ,いくつかの遺伝子の変異でES細胞の分化誘導によって形成される概日リズム周期が異常になることを見いだした。 さらに、25年度は、概日時計形成が破綻する変異ES細胞株を取得することに成功し、RNA-seq等によるグローバル遺伝子発現解析などにより概日時計発生を担う鍵因子の同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
概日時計の発生が破綻するような遺伝子変異ES細胞株を複数取得することに成功し、さらにこれらを用いたグローバルな遺伝子発現解析も、関連する研究課題であるJSTさきがけ研究の支援により可能になった。その結果、当初の予定より格段に研究が進展し、予想以上の成果を上げることができた。現在、その成果をまとめて論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進展により、予定以上の研究内容の発展が可能になってきている。概日時計の発生と細胞分化制御の関連メカニズムの理解が進むことにより、さらに幅広い生命現象の理解が進み、疾患との関連研究にも進展が期待できる。26年度は、これまでの成果を論文として公表していくとともに、更なる新たな研究へ展開してくための基盤研究を進める。
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