研究課題/領域番号 |
23390055
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70152337)
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研究分担者 |
今村 武史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00552093)
田和 正志 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10510274)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 一酸化窒素 / NO作動性神経 / 陰茎海綿体 / 平滑筋支配神経 / 生活習慣病 / 末梢神経 |
研究概要 |
昨年に引き続き、主としてラット陰茎海綿体を実験材料としてNO作動性神経の機能を観察した。8週間飲水を介して高フルクトースを摂取させて作成した雄性インスリン抵抗性モデルラット(EX)および同週齢で通常の水を飲水させた対照ラット(C)より陰茎海綿体を摘出し、マグヌス法を用いて経壁電気刺激あるいはニコチンにより神経刺激を行い、標本の等尺性張力変化を測定した。フェニレフリンで前収縮させた海綿体標本に経壁電気刺激(10V, 2-20 Hz)を適用すると、EXおよびCラット共に頻度依存性の弛緩反応が観察された。ニコチン(100 μM)の適用によっても同様に弛緩反応が観察された。両反応は共に充分量のNO合成酵素阻害薬ならびにナトリウムチャネル阻害薬であるテトロドトキシンで消失したことから、同海綿体標本にはNO作動性神経が分布し、優位に機能していると考えられた。拡張神経性の弛緩反応を定量的に比較すると、EXラットおよびCラットの間に統計的な有意差はなかった。したがって、軽度の高血圧ならびに高脂血症を呈するインスリン抵抗性状態では、陰茎海綿体のNO作動性神経機能ならびに勃起機能は低下しているとは考えにくい。さらに同様の実験を食塩感受性高血圧のモデルラットであるDahl-S ラットを用いて、食塩負荷の有無で検討した。同様にフェニレフリンで前収縮させた海綿体標本において、経壁電気刺激ならびにニコチンの適用によって弛緩反応が観察され、両反応は充分量のNO合成酵素阻害薬で消失した。同拡張神経性の弛緩反応を両群間で比較すると、統計的な有意差は観察されなかった。SHRでは拡張神経機能の低下傾向がみられたので、高血圧の成り立ちによっても影響が異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象臓器として陰茎海綿体に焦点を絞ったため、初年度と比べると順調であった。
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今後の研究の推進方策 |
生活習慣病として高血圧ならびに耐糖能異常に焦点をあて、陰茎海綿体におけるNO作動性神経機能を検討している。食塩感受性高血圧モデルならびにインスリン抵抗性モデルラットを作成して検討したが、NO作動性神経機能は対照動物との間で統計的な有意さは観察されなかった。今後は、より高血圧ならびに耐糖能異常が進展しているSHR SPならびに Zucker fatty ラットを用いて検討する予定である。
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