研究課題
不全心筋における慢性炎症反応は、心不全の重大な増悪因子である。しかし、自己免疫性心筋炎ではTh17細胞を介した慢性炎症機構の関与が重要であるのに対し、臨床的にcommonな病態である心筋梗塞後の心不全心筋での慢性炎症の成立機序は不明である。申請者はこれまで心筋保護サイトカインに関する研究を行い、急性期の心筋細胞死の回避が、梗塞後慢性期の炎症反応を抑制することを明らかにしてきた。本年度は、梗塞後心筋組織において細胞死が誘発されたのち、慢性炎症が成立する機構の解明を目的として計画を遂行した。これまで、細胞死貪食に関連する遺伝子を欠損したマウスを用いた研究から、死細胞除去障害が、自己免疫性疾患の発症につながることが知られているが、梗塞後死細胞除去と炎症慢性化との関連に関しては未だ十分に研究されていない。本研究では、マクロファージで死細胞貪食受容体CD93を過剰発現するマウス(CD93TGマウス)を作製した。このマウスのマクロファージでは予想通り貪食能が亢進していることが、ビーズ貪食アッセイで確認できた。そこで、CD93TGマウスにおいて冠動脈を結紮し、心筋梗塞を作製したところ、梗塞後心筋リモデリングが抑制された。非常に興味深いことに、CD93TGマウスの心筋に浸潤するマクロファージは、抗炎症性マクロファージであることが示唆された。以上のことから、梗塞後心筋組織における死細胞貪食は、炎症の原因となる死細胞内容物を除去するのみならず、マクロファージの極性を変化させる可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
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