研究課題
(1)野生型マウスとASK1欠損マウスを高脂肪食と低脂肪食でそれぞれ長期間飼育し詳細に比較検討した。高脂肪食による認知機能障害(作業記憶障害、参照記憶障害)の発症にASK1が関与することをみつけた。また、ASK1は海馬の神経細胞密度や毛細血管密度の減少および血管内皮障害に関与していた。(2)血管性認知症モデル(両側頸動脈狭窄による慢性脳低灌流モデル)を用いて、血管性認知症におけるASK1の役割を検討した。ASK1が認知機能障害に関与しており、その機序に一部P38MAPキナーゼを介する血液脳関門破綻、酸化ストレス、炎症等が関与している。さらに特異的ASK1阻害薬が血管性認知症マウスの認知機能障害を改善したので、ASK1阻害薬が認知症の治療薬として有望である基礎的知見を得た。(3)脳心血管障害を惹起する代表的なホルモンであるアルドステロンとASK1の両方に共通の下流に存在する分子であるエンドカン、ぺリオスチンがラット脳虚血により異なる時間経過を持って著明に増加することをみつけ、脳虚血障害への関与が示唆された。(4)メタボリックシンドローム(MetS)モデルラットの両側腎神経を切除すると、血圧の低下と血圧サーカデイアンリズムの改善がみられ、その機序に腎臓Na-Cl共輸送体の発現抑制を介する尿中ナトリウム排泄増加が関与していた。また、腎神経切除により、心肥大・心筋繊維化の抑制、血管内皮機能の改善がみられた。一方、肥満、耐糖能障害、インスリン抵抗性の改善はみられなかった。すなわち、Metsにおける血圧異常、心血管障害に腎神経が関与しており、腎神経はMetsによる心血管障害の新しい標的となりうる可能性がある。(5)脳卒中易発症高血圧ラット(SHRSP)の腎神経を切除すると、脳卒中の発症率や死亡率の減少、血液脳関門破綻の軽減、脳内酸化ストレスや炎症の軽減がみられ、腎神経は脳卒中予防の有望なターゲットであると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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