研究課題
皮膚や骨髄などの成人ヒト間葉系組織に多能性を有する新たな幹細胞Muse細胞を見出した。この細胞は3胚葉性のあらゆる細胞に分化でき、ヒトES細胞のマーカーSSEA-3でヒト線維芽細胞や骨髄液、皮膚組織などから分離可能である。腫瘍性がない事から再生医療への応用が期待されている。H24、H25年度において下記の成果を得た。1)Muse細胞の傷害部位への遊走因子の同定と組織修復との関係:特定のG蛋白共役型受容体がMuse細胞にのみ発現しており、細胞膜脂質を元に細胞傷害時に作られる急性炎症物質に対する受容体であることが分かった。Boyden chamber実験で、Muse細胞のみが遊走性を示し非Muse細胞は反応せず、またTaxiscanにおいても同様の結果が再現された。さらに肝臓・腎臓傷害モデル動物にMuse細胞を血管投与し、1日~1週の早期と2週以降の後期におけるMuse細胞の各臓器への集積を調べたところ、早期では肺や脾臓などに検出されるものの2週以降にはMuse細胞は傷害臓器に集中的に集積し生着することがわかった。一方、非Muse細胞は1週以降、傷害臓器はもとより、他の健常臓器においても残存しなかった。2)各組織由来のMuse細胞の比較:ヒト骨髄、脂肪、皮膚のMuse細胞の遺伝子発現を比較した結果、外・内胚葉系の因子は骨髄由来のMuse細胞が最も高く発現し、中胚葉系の因子は脂肪由来Muse細胞が最も高いことが分かった。3)組織再生能の検討:免疫不全マウスの肝障害、脳梗塞モデル動物に経血管的にMuse細胞と投与すると傷害組織に生着し、肝臓では肝細胞、胆管、kupffer細胞などに、脳梗塞では梗塞部位でTuj-1, NeuN陽性神経細胞として生着することなどが確認された。さらに肝機能、脳機能の改善が統計的有意差を持ってもたらされることが確認された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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