研究課題
1特異的アンタゴニストの探索生来LPAに反応しないB103ラット神経芽腫細胞にヒトLPA4を安定発現させた株を使って、アンタゴニスト活性を持つ化合物をスクリーニングするに当たっての実験条件を決定した。すなわち、アンタゴニスト活性の指標は、LPA4の活性化に伴って惹起される細胞内カルシウム流入反応の阻害とした。このアッセイを行うための条件について検討・最適化を施した項目は、実験前日に播く細胞数、血清飢餓の有無、ロードするカルシウムプローブの種類、ロードの温度と時間、ロード後のバッファー置換の有無、カルシウム反応を惹起するLPAの濃度、等である。2糖尿病以外のLPA4関連疾患の探索と発症機構の解明血管新生を伴う疾患モデルとして、網膜内血管新生・移植ガンの腫瘍形成の程度をLPA4-KOマウスと野生型マウスの間で比較した。(1)網膜血管新生:生後7日目(P7)マウスを高酸素条件下(75%o 2)でP12まで飼育し、その後大気圧条件下(21%o 2)に戻してP17まで飼育した。摘出した眼球より網膜の固定標本を作製した。病的な血管新生領域は、網膜中心部の無血管領域の出現とともに期待通り確認できた。しかし、新生児網膜で観察される病態が一腹毎に大きくばらつくことが明らかになり、このばらつきを抑えるため今後は同腹仔の野生型とKOマウスで比較することとした。(2)腫瘍形成:マウス肺癌由来のLewis Lung Carcinoma(LLC)細胞をマウスの皮下に注射し、腫瘍を形成させた。皮下に現れた腫瘍の大きさを体外からノギスで経時的に計測したが、野生型とKOマウスとの問で有意差は認められなかった。
2: おおむね順調に進展している
実験系の確立は順調であり、研究課題の達成に支障を来す問題は生じていない。今年度以降は、実験を繰り返し、論文発表に向けてデータを蓄積する予定である。
引き続き、LPA4受容体について特異的アンタゴニストの探索及び病態生理学的意義の解明を、研究計画通りに研究を推進する。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Cancer Sci
巻: 103 ページ: 1099-1104
10.1111/j.1349-7006.2012.02246.x
J. Biochem
巻: 150 ページ: 223-232
10.1093/jb/mvr087
呼吸と循環
巻: 59 ページ: 773-781
http://www.med.akita-u.ac.jp/~bougyo/Home.html