研究課題
Bリンパ球のレクチンのうちCD72はC型レクチン様ドメイン(CTLD)を持ち、シグナル抑制機能を有する膜タンパクで、その機能欠損が自己免疫を惹起するなど機能的重要性が示唆される。我々はすでにCD72のCTLDの組み換えタンパク等を用いて、CD72が一部の硫酸化糖鎖やRNA関連抗原であるSm/RNP抗原と反応することを示した。そこで、CD72が硫酸化糖鎖やSm/RNP抗原へのB細胞の応答を負に制御するかを明らかにする目的で本研究を行った。まず、ヘパリン起因性血小板減少症ではヘパリンに対する自己抗体の産生がおこる。そこで、先行論文(Suvarna et al. J. Thromb Haemost 7: 857)に従ってマウスをヘパリンと血小板第4因子の複合体で免疫した。免疫に用いた抗原に反応する抗体産生はおこったが、この抗体は抗原に混入する夾雑物に対するもので、ヘパリンに対する抗体ではなかった。そこで、未免疫マウスでの抗ヘパリン抗体産生を調べたところ、CD72欠損lprマウスが加齢とともに抗ヘパリン抗体を産生することを明らかにした。一方、lprマウスでは抗ヘパリン抗体の産生はおこらないので、CD72が抗ヘパリン抗体産生を制御することが明らかとなった。また、抗DNA抗体H鎖トランスジェニックマウス56R/3H9を用いてCD72による抗Sm/RNP抗体産生B細胞の制御について解析を行った。CD72欠損により56Rマウスでは抗Sm/RNP抗体産生B細胞が顕著に増加したが、抗Sm/RNP抗体産生は起こらなかった。Fas欠損であるlpr変異導入では、抗Sm/RNP抗体産生B細胞は増加しなかったものの、CD72欠損lpr変異の導入により顕著な抗Sm/RNP抗体の産生が認められ、CD72が抗Sm/RNP抗体産生B細胞の制御で重要な役割を果たすことが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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