研究課題
セリン/スレオニンキナーゼWNK(with no lysine(K))ファミリーは、線虫・ショウジョウバエからほ乳類に至るまで保存されており、ほ乳類には4つのWNKファミリー分子が存在する。その内、WNK1及びWNK4は偽性低アルドステロン症II型(PHAII)と呼ばれる常染色体優性遺伝性の高血圧症の原因遺伝子として同定されている。我々は新たにWNKに関与する因子の探索を行い、解析を行った。ショウジョウバエのWNK(DWNK)の解析から、WNKシグナル経路の新たな下流因子としてArrowhead (Awh)を単離した。また、そのほ乳類の相同因子Lhx8も、WNKシグナル伝達経路により、その発現が制御されており、進化的にも高度に保存されているWNK→Lhx8/Awhという新規のシグナル伝達経路を見出した。さらに、Lhx8は、アセチルコリン性神経の分化に関わっていることから、Neuro2A細胞を用いて、WNKシグナル伝達経路との関連を解析した。WNK1及びWNK4の双方のノックダウンにより、分化に伴う神経突起の伸長が抑えられるという表現型が見られ、さらにはアセチルコリン性神経の分化マーカーの発現も抑制されていた。このことは、WNKシグナル伝達経路が、神経分化にも関与しているという新たな発見であった。また、PHAIIの患者において高血圧以外にも見られる精神発達遅延という症状を考慮すると、WNKシグナル伝達経路は、Lhx8を介して、発症に関与する可能性を示唆する始めての結果である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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