研究課題
β-cateninのCD4 T細胞老化における役割を解析する目的て、ナイーブCD4 T細胞と老化CD4 T細胞でのβ-catenin結合部位をChIP-シーケンスで網羅的に同定することを試みたが、残念ながら条件設定できなかった。そのため、本年度は、β-cateninと結合しパートナーとして働く転写調節因子Tcf7に着目し研究を進めた。Tcf7の発現は、ナーブCD4 T細胞で高く、老化CD4 T細胞では顕著に低下していた。そこで、CD4 T細胞においてTcf7の発現調節を行い、β-cateninシグナルを調節しうる分子を検索し、腫瘍抑制因子Meninを見いだした。Menin欠損のCD4 T細胞では、抗原刺激後Tcf7の発現が急激に低下した。また、ChIP-シーケンスやChIP-qPCR解析で、Meninの結合がTcf7遺伝子領域で認められ、その結合パターンはヒストンH3K27のアセチル化パターンと相関していた。さらに、MeninのTcf7遺伝子座への結合やヒストンH3K27のアセチル化レベルはCD4 T細胞の老化とともに低下していくことも分かった。これらの結果は、腫瘍抑制因子MeninがTcf7の発現制御を介してβ-cateninシグナル伝達経路の活性を調節しうることを示している。面白いことに、MeninはTGF-β受容体下流のシグナル伝達分子、Smad3の活性化調節に関わることが報告されている。今後は、β-cateninシグナルをMeninとTGF-βによる制御の観点から解析し、T細胞の老化や疲弊、記憶形成へと研究を展開させたい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: 5 ページ: 1-12
10.1038/ncomms4555.
http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/immunology/