研究課題
本研究では血管内皮に注目して成長因子MKの受容体を同定し、その細胞内シグナルを解明することを目的にした。これまでの2年間で、MK alkaline phophataseを用いたMKの細胞結合を指標に、この結合阻害活性をもつRNAアプタマー、抗MKモノクローナル抗体の開発、さらに、より親和性の強いMK抗体の開発に成功した。本年度、これらのアプタマー、モノクローナル抗体は強い抗腫瘍活性を示すことを明らかにした。また、MKノックダウンでも同等の効果を得た。そして、その下流でH1FXなどの分子がダイナミックに動くことを明らかにした。ところがMKノックダウンの効果は、MKタンパク質の追加投与ではレスキューできず、また、coding regionだけのMK発現ベクターでもレスキューできなかった。すなわち、MKの作用機構はMKタンパク質とその受容体を介したものだけではなく、MK mRNAの5’, 3’非翻訳領域によるcompeting endogenous RNA (ceRNA)の機能を想定する仮説を浮かび上がらせた。また、これまでの2年間で、NOS阻害剤による血管内皮細胞傷害を介した高血圧モデルにおいてMK欠損マウスに高血圧が生じないことを発見した。その基盤となる機構として血管弛緩因子EDHF (Endothelium-Derived Hyperpolarizing Factor)の一つであるEETs (epoxyeicosatrienoic acids )の産生をMKが抑制することを見出した。これを受けて本年度、MKによるEETs産生亢進にはアデノシン受容体A2ARが必要であること、EETs分解の亢進は起こっていないことを明らかにした。従って、MKはA2ARを介してCYP450sを活性化しEETs産生の亢進に専ら関わることが考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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