研究課題/領域番号 |
23390079
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研究機関 | 公益財団法人 先端医療振興財団 |
研究代表者 |
星 美奈子 公益財団法人 先端医療振興財団, 医薬品開発・支援部門, 客員主任研究員 (30374010)
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研究分担者 |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
大西 隆之 公益財団法人先端医療振興財団, 医薬品開発・支援部門, 研究員 (30418959)
井上 雅文 公益財団法人先端医療振興財団, 医薬品開発・支援部門, 研究員 (10586655)
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キーワード | アミロイド / 神経細胞死 / カルシウム / 認知症 |
研究概要 |
アルツハイマー病ではアミロイドβ(Aβ)が凝集し異常構造体を形成し、神経毒性という異常機能を獲得する。代表者らは、アルツハイマー病(AD)患者脳より世界で初めて、神経細胞死の直接原因となる異常構造体Aβ凝集体「アミロスフェロイド(ASPD)」の単離に成功した(Noguchi et al,JBC2009)。さらに、最近我々は、ASPD毒性の標的分子として、新たな成熟神経細胞にのみ発現するシナプス膜タンパク質を同定した。本研究の目的は、この新規標的分子の機能を解明し、ASPDによる標的分子の障害がアルツハイマー病発症の分子病態を説明しうるかを、動物個体、患者脳、成熟神経細胞を用いて総合的に検証する。そのため以下3つの課題達成を目指す。課題1:標的分子の中枢神経特異的ノックアウトを作製し、個体及び細胞レベルで標的分子の機能を解析し、ASPDによる神経細胞死の作用点であるかを検証する。課題2:標的分子の分布、存在量、機能が、患者の重症度やASPD量と相関するかを検証する。課題3.:標的分子による細胞死シグナルグナルの分子レベルでの理解、特にアルツハイマー病のもう一つの特徴であるタウの異常との関連を解明する。 初年度の成果として、標的分子の中枢神経特異的ノックアウトを作製し、個体作出を行った(課題1)。また、ASPDは標的分子の機能を阻害することで異常なカルシウム流入を神経細胞に引き起こし、その結果、神経細胞死を誘導することを明らかにした(論文投稿準備中、課題3)。また患者脳を用いた解析でも上記を支援する結果が得られた(課題2)。 上記により、今までは説明が出来なかった神経細胞が損傷される原因とその機序について、初めて明快な説明が可能となった。さらに、今回初めて見出されたASPD標的分子が、新規の創薬標的となりうることが示され、新たな創薬への基盤を呈示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した課題1,2,3の全てにおいて初年度の計画を予定通り進めることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
課題1新規標的分子の動物における機能解析 予定通り、標的分子のノックアウトの解析を実施する。細胞レベルの解析から標的分子をノックアウトすると、成熟した機i能的神経がそもそも得られない可能性も出てきたため、siRNAなどを活用したノックダウン系についても取り組んでいく。 課題2新規標的分子の患者脳での病態解析 初年度に選別し条件を確立した抗体を用いて、患者脳において標的タンパク質の機能や存在量が疾患の重症度やASPD量と相関するかを免疫組織化学的・生化学的に検証する。 課題3新規標的分子による神経細胞死分子機構の解明 初年度でASPD毒性を阻止出来た阻害剤を活用して、成熟神経細胞において標的分子の下流のシグナル伝達機構を解明し、タウの異常へと至るシグナル伝達経路を解明し、アミロイドとタウの関係を明らかにする。研究成果は知財化した上で積極的に発表していく。
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