研究課題
アルツハイマー病(AD)ではアミロイドβ(Aβ)が凝集し異常構造体を形成し、神経毒性を獲得する。代表者らは、患者脳より世界で初めて、神経細胞死の直接原因となる異常構造体「アミロスフェロイド(ASPD)」の単離に成功(Noguchi et al, JBC2009)、さらに最近、ASPD毒性の標的分子として、新たな成熟神経細胞にのみ発現するシナプス膜タンパク質を同定した。本研究の目的は、この新規標的分子の機能を解明し、ASPDによる標的分子の障害がアルツハイマー病発症の分子病態を説明しうるかを、動物個体、患者脳、成熟神経細胞を用いて総合的に検証する。そのため以下3つの課題達成を目指した。最終年度の成果として、標的分子の中枢神経特異的ノックアウトを作製したが、この個体では神経が形成されないことから、新たにウィルスベクターにmiRNAを入れたところ、ASPDによる標的分子の阻害と同様に神経細胞死が起こることを示し、細胞を使ったキネティクスの解析結果と合わせて、標的分子がASPDの作用点であることを示した(課題1)。患者脳では標的分子が減少することを組織染色及びin situで示した(課題2)。また、ASPDは標的分子の機能を阻害することで異常なカルシウム流入を神経細胞に起こし、ミトコンドリアの異常及びタウの異常を起こして、神経細胞死を誘導することを明らかにした(課題3)。上記により、当初計画をしていた全ての課題を達成した。さらに、今までは説明が出来なかったAD脳において神経細胞が損傷される原因とその機序について、初めて明快な説明が可能となり、論文をNat Communicationsに投稿した。また、新たな知財も出願している。さらに、ASPD標的分子が、新規の創薬標的となりうることが示され、新たな創薬への基盤を呈示することが出来た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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