研究課題
これまでの知見から、インスリン分泌顆粒上のWFS1 蛋白は、分泌顆粒内の酸性化を介して分泌顆粒の「プライミング」を制御すると考えられる。膵潅流、及び単離ラ氏島を用いた検討により、Wfs1ノックアウトマウスではブドウ糖に対するインスリン分泌、特に初期分泌が障害されていることを見い出した。治療の試みとしてインクレチンの効果を検討したところ、エキセナチド投与により糖負荷時のインスリン分泌は野生型と同程度に回復した。Wfs1ノックアウトマウスの単離ラ氏島では抗酸化作用を持つ蛋白質Xの発現が顕著に減少していたが、エクセナチド処理により発現が回復した。この蛋白質の発現は小胞体ストレス時にも減少することを見いだしており、インクレチンによるβ細胞保護、インスリン分泌応答改善に関わる新たな機能として研究を展開して行く。Wfs1ノックアウトマウスのラ氏島での遺伝子発現変化の網羅的解析により、時計関連遺伝子(BMAL1,E4BP-4)の発現が変化することを見い出した。その意義を解明するために、時計遺伝子の下流遺伝子候補としてArntに着目した。Arntの膵β細胞での重要性は以前より知られているが、その発現が時計遺伝子によって直接制御されていることを見いだした。さらに、抑制性の出力系時計関連遺伝子であるE4BP4をβ細胞で過剰発現するトランスジェニックマウスを作成した。このマウスはインスリン分泌不全から高血糖を来し、膵潅流ではインスリン分泌第1相が著しく障害されていた。その表現型とそれに至るメカニズムについて検討を進めている。日本では、Wolfram症候群の患者の40%で原因が不明である。同意を得た患者について次世代シークエンサーを用いたエキソーム解析を行っている。劣性の変異であると仮定し、複数の患者で両アレルに変異が見いだされる遺伝子を候補と考え、複数の候補遺伝子を同定している。さらに解析を進め、未知の遺伝子同定に結びつける。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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DOI 10.1007/s13340-013-0145-8
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http://sannaika.med.yamaguchi-u.ac.jp