研究課題
神経保護作用においてSIK2阻害と相乗効果を発揮する新たな低分子化合物とそのシグナル伝達因子の同定を行った。具体的には、これまで主に解析を行った4MF(4-メチルフイセチン)と構造が異なるがSIK2を阻害し、かつ、4MFよりもSIK2下流シグナルを増強する化合物を同定した。その化合物は酸化ストレスに耐性を示すPGC-1a等を誘導し、その下流のMn-SODやcatalaseも誘導する化合物で、SIK2阻害で得られる効果を再現できるのみならず、SIK2阻害と平行して他の細胞生存シグナルも誘導することで神経保護の相乗的に機能していると予想される物であった。また、SIK2阻害と相乗効果を発揮させる標的を網羅的に同定する目的で、マイクロアレイ解析を行いCRTC1とNRF2シグナルが別々に作用することが相乗効果に繋がることが示唆された。WTマウスとSIK2-KOマウス由来の神経初代培養で、化合物が誘導する下流シグナル因子の強制発現・抑制実験を行い、神経保護作用効果を検証した結果、ミトコンドリア機能の亢進作用である結果を得た。これら低分子化合物の結果を標準系として、創薬ベンチャーとの共同研究でnMレベルで効果を発揮する低分子化合物にもたどり着いた。さらに、SIK2以外のSIK1やSIK3への影響も比較し、有用面や副作用的な側面をSIK1-3のそれぞれのKOマウスの表現型を参考に検証した。また、酸素消費計を活用し、細胞死に関わる因子の評価系を多面的に構築し、SIK阻害剤のうち最も効果の高い低分子を縛り込んだ。また、SIK2シグナルに関連する複数の自然発生神経疾患モデルマウスの樹立し、SIK2阻害剤の有効性を再検証した。これらの検証実験を通じて、神経保護に作用し、より病態制御に繋がる可能性の高い低分子化合物創製することに成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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