研究課題
本年度の研究計画に沿って成果を記載する。1.組織標本における各ムチン分子のコア蛋白発現プロファイルの作成:肝内胆管癌において、免疫染色を行いMUC16の発現を比較検討した。外科切除を受けた腫瘤形成性肝内胆管癌63例を解析した。48%(30/63例)で陽性であり、MUC16陽性例では陰性例に比べて有意に予後不良であった(P=0.03)。また、外科切除を受けた浸潤性膵管癌66例において、免疫染色を行いMUC17の発現を比較検討した。52%(34/66例)で陽性であり、組織型別では、乳頭腺癌が管状腺癌より陽性率が高く、低分化腺癌では陽性例は認められなかった。2.組織標本における各ムチン遺伝子のメチル化プロファイルの作成:我々が開発した「新規高感度DNAメチル化解析法(MSE法)」を論文として発表した。また、胆管癌患者における腫瘍部と非腫瘍部との各ムチン遺伝子プロモーター部のメチル化解析を行ったところ、そのタンパク質やmRNAの発現とDNAのメチル化に相関関係を認めることができた。また、MUClプロモーター部において、腫瘍部は非腫瘍部に対して、有意に非メチル化されていることを見出した。3.膵胆管腫瘍組織における各ムチン分子の異常糖鎖修飾プロファイルの作成:糖鎖変化を指標とする疾患関連バイオマーカーの開発は、現在の糖鎖科学における重要な課題のひとつである。本報告では、種々の細胞株を用いた実験により、コアとなるムチン蛋白は同一でも、癌腫によってその糖鎖構造が全く異なることなど興味深い知見を得た。
2: おおむね順調に進展している
本年度は予定研究内容をほぼ達成出来た。
平成24年度は、研究計画のとおり、膵胆管系腫瘍組織の解析を進めるとともに、液体サンプル(膵液・胆汁液)を対象とした解析を開始する。
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