研究課題/領域番号 |
23390085
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
米澤 傑 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175002)
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研究分担者 |
東 美智代 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60315405)
横山 勢也 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20569941)
新地 洋之 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60284874)
成松 久 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40129581)
亀山 昭彦 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80415661)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 膵癌 / intestinal-type IPMN / gastric-type IPMN / 悪性度 / MUC4 / DNAメチル化 / MUC1 / 低酸素応答性 |
研究概要 |
1.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のMUC4発現について検索を行い、癌化の傾向が強いintestinal-type IPMNが、ほとんど癌化しないgastric-type IPMNより明らかに高頻度にMUC4を発現することを世界で初めて報告した。 2.膵胆管系癌のムチン発現様式との比較対照を行った早期胃癌においてもMUC1とMUC4は脈管侵襲を介しての予後不良因子であった。 3.高い解像度(0.1%)と高い検出力(20pg)を持ってムチンの遺伝子発現のDNAメチル化パターンを解析できる我々が開発した「Methylation specific electorophore sis (MSE)」解析法を用いて、膵液におけるムチン発現パターンを解析した結果、33例の膵腫瘍診断予測の感度・特異度は、膵癌:100%・93%、gastric type-IPMN:70%・91%、intestinal type-IPMN:89%・96%であり、膵腫瘍の早期鑑別診断に応用できる可能性を示すことができた。 4.低酸素環境に曝された癌細胞がMUC1を介して転移能を獲得する可能性を以下の結果で示した。(1) 低酸素下(酸素濃度 1%)で培養した膵癌の培養上清には血管内皮細胞の管腔形成誘導能がある。(2) 転移巣からの膵癌細胞株ではMUC1の低酸素応答性の発現上昇が顕著で、MUC1-cytoplasmic tail(MUC1-CT)が膜面から核へ移行する。(3) 核へ移行したMUC1-CTはp53やβカテニンを伴い血管新生因子であるCTGFの転写及び分泌を強く促進する。(4) 低酸素性MUC1発現は他の血管新生因子VEGFAやPDGFBの分泌促進にも寄与する。(5) これら血管新生因子の制御を介してMUC1は血管内皮細胞の血管新生能を亢進させる「Key regulator」の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定研究内容をほぼ達成出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、研究計画のとおり、膵胆管系腫瘍症例から得られた液体検体(膵液・胆汁液)のサンプル数を増やしてMSE解析を進め、臨床応用への道を探る。
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