今後の研究の推進方策 |
1. 各種脂肪組織を成人剖検症例より採取し、FALCの局在を明らかにする。NH細胞の観察は、c-kit/IL-7受容体およびIL-33受容体/CD3の重染色にて行う。フローサイトメーターでは、血球系統マーカーとc-kit,IL-7受容体,IL-33受容体を検討することで、FALC内のNH細胞と他系統の血球を同定・定量する。2. FALCにあるNH細胞を単離し、自然免疫担当細胞としての機能を解析する。剖検症例の各種脂肪組織から、c-kit,IL-7受容体,IL-33受容体陽性細胞をNH細胞としてソーティングする。単離された細胞については、光学および電子顕微鏡により形態観察を行う。また単離された細胞を培養し、各種サイトカイン産生能、転写因子群発現を明らかにする。また試験管内において、刺激後の各種サイトカイン産生能を測定する。また生体内ヒトNH細胞の機能を解析するために、ヒトNH細胞をCSFE蛍光染色してから、免疫不全マウス腹腔内へ移植し、その生存と期間および増殖能を観察し、さらに一定期間後にマウスを解剖し、全身の脂肪組織やリンパ節、脾臓などを組織学的に検討することで、局在を明らかにする。3. メタボリック症候群、糖尿病、アレルギー疾患症例症例でのFALCの病理学的解析を行い、NH細胞の動態、機能を明らかにする。剖検例からの脂肪組織におけるFALCの形態学的変化を解析する。解析は1同様の染色標本について、画像解析ソフトImageProPlusを用いて定量的に行う。またこれらの脂肪組織におけるマクロファージについて、活性化抗原発現を検討し、M1/M2マクロファージの比率を検討する。これらの脂肪組織から単離したNH細胞については、2同様にサイトカイン産生能あるいは各種の刺激後のサイトカイン産生能を解析し、NH細胞の機能変化の有無を明らかにする。
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