研究課題
滑膜肉腫は若年成人の関節周辺に発生する悪性度の高い腫瘍であり有効な治療法は未だ確立されていない。本研究では根源的な治療法を開発するため、滑膜肉腫幹細胞を同定し腫瘍発生機構・病態を解明し、発癌メカニズムに基づく治療薬開発の基盤技術を確立する。発癌機構の解析は、①肉腫幹細胞の分離とマーカー分子の同定、② 滑膜肉腫キメラ遺伝子SYT-SSXによるクロマチンリモデリング測定システムの開発、③滑膜肉腫の腫瘍化に必須のシグナル伝達分子Crkによる転移・浸潤メカニズムの解明、の3つを柱とする。治療薬剤のリード化合物の探索は独自に開発した1分子特異的シグナル抑制薬剤スクリーニング法、2分子結合FRETイメージング法、分子構造に基づくin silico分子設計法を用いて、スクリーニング法の基盤を確立する。候補となる化合物は申請者らが確立した滑膜肉腫モデルマウスを改良し、臨床応用の可能性を含めて有効性を評価する。本研究では肉腫幹細胞、クロマチンリモデリング機構、HGF-Crkシグナルの3点に焦点をあて、SYT-SSXの癌化のメカニズムについて分子生物学的に包括的・総合的な理解を目指す。特に肉腫幹細胞はこれまで報告がほとんどなく、治療上極めて重要な発見となる。クロマチンリモデリングと発癌との関連については、近年急速に解析が発展している分野であるが、滑膜肉腫については癌化に必須であるSYT-SSXとhBRMとの結合は当研究室で発見されたものであり独創性が高い。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件)
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