研究課題
PYNODは我々が同定したNLRファミリーに属する細胞質蛋白質である。本研究ではPYNOD欠損マウスを樹立し、PYNODの生理的・病理的役割を明らかにすることを目的とした。本年度は、主に1)サルモネラ菌感染モデル、2)遅延型過敏症モデル、3)炎症誘導発がんモデルにおいてPYNOD欠損の影響を検討した。1)ネズミチフス菌をマウス腹腔に接種し、48時間後の肝臓および脾臓の生細菌数を定量した。その結果、野生型マウスとPYNOD欠損マウスの間で有意差が認められず、PYNOD欠損マウスは自然免疫応答に明瞭な異常が認められないという我々の昨年度までの結果と一致する結果となった。2)最近Eisenbarthらは、PYNOD欠損マウスでは末梢組織の樹状細胞の所属リンパ節への移動が障害されており、獲得免疫応答が著明に低下していると報告した。我々もPYNOD欠損マウスは獲得免疫応答である遅延型過敏症応答が著明に抑制されていることを見出していたが、樹状細胞の移動に異常を認めなかった。本年度は先ず、骨髄由来樹状細胞の抗原提供能を検討した。その結果、PYNOD欠損樹状細胞は正常な抗原提供能を示した。また、卵白アルブミン免疫マウスの所属リンパ節細胞のOVA特異的IFNγ産生応答を調べたところ、PYNOD欠損リンパ節細胞は正常な応答を示した。次に、抗原投与局所の浸潤細胞を調べたところ、PYNOD欠損マウスではCD3陽性T細胞の浸潤が著明に抑制されていた。以上の結果は、PYNOD欠損により末梢樹状細胞のリンパ節への移動ではなく、リンパ節エフェクターT細胞の末梢への移動が障害されている可能性が示唆された。3)Dextran sulfate誘導大腸癌モデルおよびC2mEマウス(炎症誘導性胃粘膜過形成モデル)においてPYNOD欠損の影響を検討したところ、野生型と比べ発がんや粘膜過形成の程度に差が無かった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int. Immunol
巻: 25 ページ: 363-372
10.1093/intimm/dxs161
http://dimb.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html