研究課題/領域番号 |
23390093
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
樋口 京一 信州大学, 医学系研究科, 教授 (20173156)
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研究分担者 |
森 政之 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (60273190)
澤下 仁子 信州大学, 医学系研究科, 助教 (40359732)
亀谷 富由樹 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主任研究員 (70186013)
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キーワード | マウス / アミロイド / ApoA-II / 伝播 / ApoA-I / トランスジェニックマウス / 線維形成 / コレステロール |
研究概要 |
研究の目的と研究実施計画は以下の通りである。『アミロイドーシスは蛋白質が病的構造を取り、アミロイド線維として組織に沈着し障害を与える疾患群であり、患者数も多く病態の解明と治療法の開発が希求されている。AApoAIIを中心とした各種全身性アミロイドーシスの既存および新たに作成するモデルマウスを駆使して、(1)個体間及び組織間の伝播の担体(分子及び細胞)と経路を明らかにする。(2)熱ショック転写因子(HSF1)やアポリポ蛋白質欠損マウス等を用いてProteostasis維持機構がアミロイドーシスの発症や治療に及ぼす効果を解析する。これらの研究によってアミロドーシスの包括的な病理学的把握を達成し、各種アミロイドーシスの治療、予防法の開発を目指す』 本年度(23年度)は、実施計画(1)に基づきApoA-IIのC末端にMy/c標識したApoa2c-mycのトランスジェニックマウスを作成した。既にApoa2c-mycを発現する数系統を得て、現在ではApoa2のノックアウトマウスとの交配によって、Apoa2c-Tg,Apoa2-/-マウスの作成をほぼ完了して、詳細を解析中である。さらに伝播経路を明らかにするために、糞や血液中に含まれるアミロイド線維の解析を行っている。実施計画(2)に基づき、ApoA-Iノックアウトマウスにおけるアミロイド沈着と血清高密度リポ蛋白質(HDL)の代謝変化を解析した。ApoA-Iの欠損に伴い、HDLの大型化やApoA-IIの加齢に伴う増加が観察され、AApoAIIアミロドーシスが増悪した(Wang et al J Lipid Res 2011)。また我々の開発したマウスを米国へ分与して、アミロイドーシスのイメージング用のペプチド開発に利用された(Wall et al PNAS 2011)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析ツールとしてのトランスジェニックマウスの作成は計画以上に順調に進展した。一方伝播を担う担体の解析に関しては、やや遅れている。ApoA-Iノックアウトマウスを用いた解析は計画以上に進展したが。HSF1KOマウスを用いた、Unfblded Protein Responseの解析はやや遅れている。また以前開発したアミロドモデルマウスはアメリカへ分与され、論文として発表された(PNAS USA 2011)のは予想外の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
アミロイド線維の成体でのMyc標識に関してはモデルマウスがほぼ完成したので、詳細な解析をスタートしたい。血液や、糞中のアミロイド線維を介した伝播の解析は、スピードアップを図りたい。 HSF1ノックアウトマウスは、スクリーニングや解析方法等の問題で期待していた結果がまだ得られていない。コツコツと慎重に進めたい。アメリカとのアミロイドーシスのイメージングに関する共同研究は推進する。
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