研究課題
我々はこれまでに、がん細胞の死に伴うがん免疫活性化現象にリンパ節の辺縁洞に局在するCD169陽性の特殊なマクロファージサブセットが関与していることを明らかにしてきた。このマクロファージはCD8T細胞にがん抗原を提示するとともに、T細胞を活性化するシグナルを送り、効率よくがん免疫を活性化するものと考えられている。本年度は、CD169マクロファージから発信されるT細胞活性化シグナルの分子実体を明らかにすることを目指した。がん免疫が誘導されたマウスのリンパ節よりCD169陽性マクロファージを採取し、microarrayにより遺伝子発現を解析したところ、定常時に比べて発現が亢進しているサイトカインを複数個同定した。これらの中にはT細胞の遊走や活性化の機能を有するものも含まれており、T細胞によりがん免疫の活性化に関与していることが想定される。また昨年度に引き続き、CD169-CrexROSA26YFPマウスを用いて、CD169を発現するマクロファージの生体内での分布を調べたところ、リンパ節や脾臓に加えて、腎臓や腸管のマクロファージの一部にも蛍光が認められた。腎臓では特に腎髄質の血管内皮直下にこれらのマクロファージが局在していることが判明し、さらに、CD169-DTRマウスを用いた解析から、これらのマクロファージが腎虚血再灌流傷害において、過剰な炎症を抑制する働きがあることが判明した。これらの知見より、CD169マクロファージは免疫組織における免疫制御機構に関与するだけでなく、各臓器における炎症制御にも関与している細胞集団であることが分かった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the American Society of Nephrology
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