研究課題
基盤研究(B)
遺伝子改変酵素AIDが上皮細胞で炎症刺激により誘導される観察に基づき、慢性炎症を背景に発症する癌がAIDによって引き起こされる作業仮説を裏付けるため、AID発現履歴のある細胞を可視化する遺伝子改変マウスモデルを樹立した。Cre-loxP組換え系を用いて任意の遺伝子の発現履歴を細胞にマーキングする手法は既に確立しており、神経系や免疫系などにおける細胞分化の運命追跡(fate mapping)に応用されている。この手法をAIDの発現履歴解析に適応する。AID(遺伝子名AICDA)のプロモーターにCre組換え酵素(loxP部位での組換えを触媒する)遺伝子を連結したトランスジーンを用いたトランスジェニックマウスAicda-creが報告されている。一方、特殊なloxPを巧妙に組み合わせ、Creが発現すると不可逆的に赤色蛍光タンパク(RFP)発現のスイッチが入るトランスジェニックマウスROSA26-tdRFPも報告されている。RFPの発現は組織普遍的な発現をしめす遺伝子ROSA26のプロモーターにより発現する。このRFPは二量体化(tandem dimer)による蛍光強度の増大が図られているtdRFPである。Aicda-creマウスとROSA26-tdRFPマウスを交配し得られる、ダブルトランスジェニックマウス(AID-RFP)においては、AIDを発現する細胞においてCreが発現し、RFPの発現が始まる。その後AIDを誘導する刺激が消失してもRFPは発現し続ける。このようにしてAIDの発現履歴をRFPによりマーキングできる。AID-RFPマウスを用いて皮膚化学発がんモデル実験を行い、腫瘍の形成を確認した。
3: やや遅れている
マウスの交配で仔マウスがなかなか誕生しなかったため。
皮膚化学発がんモデルに集中して、得られた腫瘍の遺伝的解析を進める。
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Oncogene
巻: 31 ページ: 1733-42
10.1038/onc.2011.352
http://homepage2.nifty.com/gene/evomed/