研究課題
遺伝子改変酵素AIDが上皮細胞で炎症刺激により誘導される観察に基づき、慢性炎症を背景に発症する癌がAIDによって引き起こされる作業仮説を裏付けるため、AID発現履歴のある細胞を可視化する遺伝子改変マウスモデル(AID-RFP)を用いた実験をおこなった。ウレタン腹腔内投与により肺腫瘍を誘導する実験系において、AIDの発現履歴が誘導されるか検討を行った。8週齢のAID-RFPマウスにウレタン 20 mg を腹腔内投与し、16週後に解剖し肺の切片を顕微鏡で観察した。その結果、 RFP 発現細胞が誘導されていることが分かった。その細胞の一部は肺胞I型上皮のマーカーであるポドプラニンを発現していた事から、肺胞上皮で AID の発現が誘導されている事が示唆された。しかし、その後の実験でウレタン投与後の AID 発現が mRNAレベルで確認できなかった事から、AID がウレタン刺激により誘導されるかどうか、さらなる検証が必要である。AIDトランスジェニックマウスの肺に生じる微小病変 MALL (mouse AAH-like lesion) の遺伝子変異をレーザーマイクロダイセクションで解析する際、病変の同定に必要な実験方法を開発した。従来のレーザーマイクロダイセクションではカバーガラスを使用できないため、切片表面で光が乱反射し細胞核などの微細な構造が確認できず微小病変 MALL の同定が困難であった。そこで、レーザーマイクロダイセクションに使用でき、顕微鏡観察の視認性を向上させる油性封入剤(液体カバーガラス)を開発した。これを特許(国内)として申請し登録された。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、AID の発現履歴をモニターできるマウスが準備でき、発がん実験を進めている。
種々の刺激を肺胞上皮に与え、AID の発現が誘導されるかどうか検討する。皮膚腫瘍に関しての AID 発現履歴も検索する。
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Int Immunol
巻: in press ページ: 1-1
日本臨床
巻: 71, Suppl 6 ページ: 118-121
http://www.shigamed.jp/
http://homepage2.nifty.com/gene/evomed/homu.html