研究課題/領域番号 |
23390098
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
河津 信一郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
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研究分担者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 感染症 / マラリア / ストレス / レドックス / 遺伝子改変原虫 |
研究概要 |
(1)マラリア原虫肝内型における抗酸化酵素(1-Cys Prx、TPx-1およびTPx-2)の発現プロファイルを野生株(WT)とTPx-1欠損株(TPx-1KO)およびTPx-2欠損株(TPx-2KO)との間で比較した。Plasmodium berghei 各原虫株感染蚊唾液腺から調整したスポロゾイトを、in vitroで培養したHepG2細胞へ接種した。接種後5時間後(5h)、17時間後(17h)、40時間後(40h)、50時間後(50h)に1-Cys Prx、TPx-1およびTPx-2のmRNA発現量をリアルタイムRT-PCRにて相対定量した。TPx-1KOでは、17hおよび40hの発現量がWTのそれと比較して優位に増加した。TPx-2の発現量も40hでWTのそれに比較して優位に増加した。TPx-2KOでも、17hおよび40hでの発現量がWTのそれと比較して優位に増加した。一方TPx-1の発現量には、WTと比較して優位な差は認められなかった。これらの結果より、蚊体内発育型に加えて、肝内型でも酸化ストレス応答のメカニズムが存在することが示唆された。 (2)TPx欠損株について、HepG2細胞へのスポロゾイト接種後の肝内型原虫の発育状態を詳細に観察した。その結果、TPx-1KOではシゾント期(40h-50h)の大きさがWTのそれに比較して優位に小さいことが解った。現在この表現型の詳細について観察をおこなっている。 (3)1-Cys Prxを欠損するP. berghei ANKA株(1-Cys PrxKO)を作製した。欠損原虫株は、薬剤耐性マーカーにPbDHFR-TSmt(ピリメタミン耐性)あるいはhDHFR(WR99210耐性)を用いた二系統を作製した。現在1-Cys PrxKOについて、赤内期の表現型について観察をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1-Cys Prxを欠損するP. berghei ANKA株(1-Cys PrxKO)の作製に時間を要し、TPx-1及び1-Cys Prxを欠損する(Double Knock out)原虫株の作製には平成25年度から着手することになるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、チオレドキシンペルオキシダーゼ(Prx)ファミリー(family)遺伝子を欠損するローデント(ネズミ)マラリア原虫で観察される表現型について、そのメカニズムを詳細に調べることで、Prx familyの(1)酸化ストレス応答機構(2)蚊体内発育ステージでの役割(3)肝内型発育ステージでの役割を明らかにすることを目的とする。
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