研究課題
1.ローデントマラリア原虫Plasmodium bergheiのチオレドキシンペルオキシダーゼ-1(TPx-1)遺伝子欠損株について肝臓型での表現型を観察した。野生型株(WT)、TPx-1遺伝子欠損株(TPx-1 KO)スポロゾイトを、in vitroで培養したHepG2細胞へ接種して、5時間後、17時間後、40時間後および50時間後に、肝臓型原虫の発育状態を抗CSP(circumsporozoite protein)抗体と抗MSP (merozoite surface protein)-1抗体による蛍光染色で観察した。CSP抗体を用いた蛍光染色像から、TPx-1 KOでは肝臓型シゾント期以降で、原虫細胞の大きさがWTに比較して有意に小さいことが解った。また、MSP-1抗体を用いた蛍光染色像から、TPx-1 KOでもWTと同様にシソゴニーが進行するが、シゾント内に形成されるメロゾイトの数がWTと比較して有意に少ないことも解った。このことから、TPx-1 KOで観られた赤血球型出現の潜伏期遅延は、肝臓型シゾント期以降の発育障害によるメロゾイト数の減少によると考察された。2.1-Cys Prxを欠損するP. berghei(1-Cys Prx KO)について、赤血球型の表現型を観察した。1-Cys PrxKOおよびWT寄生赤血球をマウス腹腔内に接種し、その後の赤血球型原虫の増殖を観察した。WT原虫を接種したマウスの赤血球型原虫寄生率(PE)は接種後4日目で10%に到達し、その後も20%以上の高い値を継続した。WT原虫接種マウスは8割が死亡した。一方1-Cys Prx KO原虫接種マウスのPEは7日目まで1-5%にとどまり、その後20%に上昇するが、18日目には0.2%以下に低下した。同原虫接種マウスは全頭が生存した。形態的には、KO原虫で空胞を形成した原虫細胞が、WT原虫と比較して有意に多く認められた。1-Cys Prx KO原虫のPEが接種初期に低く抑えられる理由や、空胞形成の理由については、膜の過酸化脂質や細胞内の過酸化レベルを比較して、現在考察を進めているところである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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