研究概要 |
キャピラリー電気泳動飛行時間計測型質量分析器(Capiliary electrophoresis-Time of Flight Mass Spectrometry)を用いて、グルコース飢餓と浸透圧低下により赤痢アメーバの嚢子化誘導後、0.5,2,8,24,48,72,128時間後のメタボローム解析を行った。解糖経路・核酸・アミノ酸代謝などの中心的代謝経路だけでなく、嚢子壁合成経路・ポリアミン合成・分解経路などの中間代謝物の>100の嚢子過程の継続的プロファイリングを達成した。この解析により、嚢子化過程で解糖経路・発酵、核酸合成が止まり、グルコースからの代謝の流れがキチン合成に誘導されること、ポリアミン経路を経てGABAが合成されること、嚢子化初期に複数のバイオジニックアミンが一過性に合成されることなどが明らかになった。本成果は現在論文投稿中である。更に、嚢子化過程の細胞からmRNAを抽出し、遺伝子発現プロファイリングをDNAマイクロアレイを用いて行った。この結果、全12000の遺伝子に関して、嚢子化過程の網羅的遺伝子発現制御様式が準備的に解明された。次年度以降に結果のとりまとめを行い、論文作成を行う予定である。また、Entamoebainvadensにおいて遺伝子の個別機能を解明するために、形質転換法の確立を行った。 LipofectAmineを用いたリポフェクションにより外来性遺伝子を発現する系を確立した。更に安定形質転換体の作成に不可欠な薬剤耐性遺伝子の選択を終えた。
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