研究課題/領域番号 |
23390100
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中根 明夫 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30164239)
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キーワード | 感染症 / 毒素 / TSST-1 / 細菌 / オートファジー / 免疫学 / IL-17 |
研究概要 |
本研究では、TSST-1のスーパー抗原以外の機能を実証し、黄色ブドウ球菌感染における役割を細胞レベル及び生体レベルで解明し、黄色ブドウ球菌と宿主の攻防メカニズムを解明することを目的とし、平成23年度は以下の検討を行った。 1.TSST-1のスーパー抗原によらない上皮細胞感染への役割を知るために、TSST-1分子のアミノ酸置換による変異タンパク質のスーパー抗原活性の欠損する変異タンパク質をT細胞レセプターあるいはMHCクラスII結合部位を中心に作製に成功した。 2.TSST-1遺伝子を欠損させた黄色ブドウ球菌株(△tstについて、マウスにおける感染力と上皮細胞におけるオートファジー誘導について検討したところ、マウスにおけるビルレンスが低下する一方、上皮細胞において野生株に比べオートファジー誘導が促進されていた。 3.上皮細胞(HeLa229株)をTSST-1で処理し、オートファジー誘導時のオートファジーマーカー(LC3)、リソソームマーカー(LIAMP2,LysoTracker)の分布と発現量について共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析したところ、TSST-1処理細胞でオートファジー誘導が著明に抑制された。同様な結果は、ウエスタンブロット法によるLC3-II定量結果でも得られた。 4.TSST-1処理上皮細胞におけるオートファジー関連各種遺伝子の発現を定量的PCRで評価したところ、TSST-1はLC3の発現を抑制することが示唆された。 5.スーパー抗原欠損TSST-1で免疫したマウスでは黄色ブドウ球菌感染に対し抵抗性を獲得することのメカニズムとして、特異抗原であるTSST-1刺激によりγδT細胞及びCD4陽性T細胞から産生されるIL17が必須な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画はおおむね順調に進展しているが、現在ものづくりが主体であったため、データとしては次年度に持ち越されている部分もある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の計画に従って平成24年度以降の研究を遂行していくことには変更はない。ただ、TSST-1変異遺伝子の過剰発現株の作製には難渋しており、この部分が現在の大きな課題となっている。
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