研究課題
C型レクチンは膜タンパク質で、細胞外のCRDと呼ばれる領域で糖鎖を認識する。樹状細胞(DC)やマクロファージといったミエロイド系細胞に発現するC型レクチンは、マウスでは6番染色体テロメア側、ヒトでは12番染色体短腕にクラスター状にコードされており、感染に対する免疫応答に関与している可能性が示唆されている。また、真菌は菌種によって細胞壁の糖鎖構造が大きく異なるため、宿主の認識機構もそれに対応した機構が存在する可能性が示唆されることなど、C型レクチン真菌感染防御機構にはまだ不明な点が多く残っている。そこで、本研究ではDCやマクロファージに発現する機能未知のC型レクチンの欠損マウス(KOマウス)を作製し、その生理機能の解明を行うことを目的とした。その過程で、本年度は、新規KOマウス2種類の作製に成功した。一方、これまでDectin-1はPneumocystis carinii (P. carinii)の感染防御に重要な役割を担っていること、Dectin-2はCandida albicans (C. albicans)の感染防御に重要であることを明らかにしてきたが、今年度はDectin-2が病原細菌である肺炎球菌の認識や、病原真菌のMalasseziaの認識にも関与していることなどを見いだした。今後は新規に作成したKOマウスを用い、感染防御機構におけるC型レクチンの機能を包括的に解明していきたい。
2: おおむね順調に進展している
新規C型レクチンの作製に成功した。また、C型レクチン分子にcollaboration機構がある可能性を示唆するデータを得た。さらに、C型レクチンは、病原真菌だけではなく、病原細菌や寄生虫アレルゲンなど、幅広い病原体の認識に関与していることを見いだした。
今後は、新規KOマウスを用いて、各分子の生体防御機構における役割を明らかにする。さらに、C型レクチンファミリー分子間、あるいは他のファミリーに属する分子とのcollaboration機構を解明することで、感染防御機構におけるC型レクチンの機能を包括的に解明していく。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 備考 (2件)
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