研究課題
本研究では、ヘリコバクターピロリの胃粘膜長期感染成立メカニズムの包括的理解を目指して、本菌と感染宿主の時間的・空間的相互作用に焦点を絞り、次の研究を企図した。(A) ピロリ菌発現動態解析:ヒト類似高病原性スナネズミ感染株と、低病原性マウス感染株の感染経時的な網羅的発現動態を比較して、感染ステージごとのヒト病原性に重要な菌体因子を同定する。(B) 胃での反応解析:感染経時的なピロリ菌発現変動に対応した胃上皮発現動態を解析して長期定着機構を解明する。(C) 腸管パイエル板での反応解析:抗原取り込み器官における菌体と宿主の相互作用と抗原提示メカニズムを解析する。平成25年度は以下の成果を得た。ピロリ菌3株における、らせん状菌および球状菌の表面タンパク質プロファイルを、LC/MS/MSによる網羅的ショットガン解析により精査した。その結果、球状菌表面に特異的に存在するタンパク質を複数同定した。これらの菌体因子欠損変異株を作製して、感染における胃粘膜およびパイエル板での当該菌体タンパク質の意義を、現在解析している。菌体の感染経時的な網羅的発現動態比較の検討の礎とするために、らせん状菌と球状菌でのトランスクロプトーム解析を実施した。その結果、複数のピロリ菌に共通する菌体形態特異的なsmall RNAを複数同定した。現在これらのsmall RNAの感染における意義の解析を遂行している。ピロリ菌感染における炎症応答惹起に重要な、菌体成分ペプチドグリカンと宿主NOD1を介した炎症性サイトカイン発現には、オートファジーが重要であることを示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell Host Microbe
巻: - ページ: -
10.1016/j.chom.2014.04.001
PLoS Pathog
巻: 10 ページ: e1003926
10.1371/journal.ppat.1003926
巻: 13 ページ: 570-583
10.1016/j.chom.2013.04.012