研究課題/領域番号 |
23390105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 宏樹 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (80222173)
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キーワード | 細菌 / レジオネラ / 接合伝達 / IV型分泌 / タンパク質分泌 |
研究概要 |
病原細歯のIV型分泌系は、病原因子を輸送するシステムとして、また接合伝達による多剤耐性菌出現を引き起こす主要な経路の一つとして、その全貌の解明が待望されている。細菌細胞表層に構築される複雑な超分子複合体であるIV型分泌系の全体像を解き明かすため、構造未知のIVB型分泌系の中核複合体や部分複合体を生化学的に単離し、分子あるいは原子レベルでの構造解析を行う。これにより、多様な輸送活性を担い、その進化的な成り立ちが謎につつまれているIV型分泌系の動作原理の解明を目指す。 本年度はレジオネラDot/Icm分泌装置、およびそれに近縁なR64プラスミドの接合伝達装置に着目し、これらIVB型分泌系コア複合体の生化学的分離へ向け、出発材料および可溶化・精製法の検討を行った。その結果、定常増殖期にあるレジオネラ菌から得られたTriton X-100可溶化画分から出発して、超遠心分離ペレットの再溶解物をCsCl密度勾配遠心法で分画することにより、Dot/Icm IVB型分泌系コア複合体を20-50%程度の精製度で粗精製する方法を確立した。この画分のネガティブステインによる予備的な電子顕微鏡解析により、Dot/Icm IVB型分泌系コア複合体と考えられる構造物が観察されたが、免疫電顕法などでこれを確認するには至っていない。これまでに確立した方法により得られたコア複合体の構成タンパク質の確認等を進めると共に、今後のより高解像度な電子顕微鏡解析および結晶構造解析に向けて、精製度・収量を高めていく必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の当初計画をおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
実績概要の通り現時点での最大の問題は、得られたコア複合体の精製度・収量ともに今後の高解像度解析には不足している点にある。次年度以降この問題に対応するため、特に収量を劇的に改善する狙いで、大腸菌におけるコア複合体構成タンパク質群の大量発現系の構築・精製法の検討を行う予定である。
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