研究課題/領域番号 |
23390108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米山 光俊 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40260335)
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キーワード | ウイルス / 自然免疫 / RNA |
研究概要 |
本研究では、抗ウイルス自然免疫誘導に必須な役割を担う細胞内ウイルスRNAセンサーRIG-I-like receptor(RLR)に注目し、RLRによるウイルスリボ核蛋白質複合体(RNP)認識の分子機構と、そこに存在する普遍性を明らかにすることにより、RLRを標的とした新規の抗ウイルス治療あるいは予防薬剤開発へとつながる知見を見いだすことを目的としている。平成23年度は、3種のRLRのうちRIG-Iに焦点を絞り、RIG-IによるRNP認識をin vitro(試験管内)で再構成する実験系の構築を目指した解析を進めた。その結果、リコンビナントRIG-Iと基質である人工RNAを、培養細胞抽出液の可溶性画分およびミトコンドリア画分とATP存在下で反応させることにより、下流の転写因子であるInterferon regulatory factor(IRF)-3の活性化の誘導を検出することが可能となった。また、これまで報告があったように、この反応系には4つ以上のポリユビキチン鎖が必要であることも確認された。さらに、基質となるRNPの調整を平行して進め、モデル系としてインフルエンザウイルス(IAV)の人工的RNPの調整を完了した。現在、これらを用いたin vitroの再構成系の樹立を進めており、それに引き続き、そこに関与する分子の同定へとつなげてゆく予定である。一方、ウイルス感染細胞内でRIG-Iが形成する凝集体の機能解析を行い、そこに関与する分子の同定を進めた。今後はこれらの知見を統合することにより、RLRによるウイルス検知の分子機構を明確にすることを目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでのRLRシグナル再構成系確立のための条件検討に若干の時間がかかり、当初の計画にあったウイルスRNPを用いた解析まで踏み込んだ解析へ到達できていない。しかし、年度中に再構成系の条件を決定することに成功し、現在RNPを用いた解析を遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
23年度中に確立したRLRによるシグナル活性化のin vitroでの再構成系と調整済みであるウイルスRNPを用いた実験系を完成させ、それらを用いることにより、RLRによるウイルスRNP認識に関与する分子あるいはそこで働く分子メカニズム解明のための検討を加速させる。材料となるシステムの確立は進んでおり、24年度には目的に沿った解析を加速することができると考えている。
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