研究課題
TRIM5αはHIVのカプシドを認識してプロテアソーム分解に導きウイルス感染の初期過程を阻害する因子である。カプシド認識にはC末端のPRYSPRY領域が、抗ウイルス活性にはN末端のRING領域の持つユビキチンリガーゼ活性が関与する。マウスはヒトTRIM5αのオーソログとして、3つのTRIM12と5つのTRIM30遺伝子を持つ。マウスTRIM12とTRIM30は、トル様受容体4(TLR4)のシグナルの下流に位置するTAB2/3のプロテアソーム分解に寄与するとの報告がなされた。そこで我々はヒトTRIM5αがTLR4シグナルに関与するか否かを検討した。TAB2あるいはTAK1を293T細胞にそれぞれの発現プラスミドを導入したところに同時にヒトTRIM5αを発現させると、TAB2もTAK1もタンパク質量の低下が観察された。TLR4のシグナルの下流では、TRAF6、TAB2、TAB3、及びTAK1は複合体を形成している。どの因子とTRIM5αが直接結合しているのかを調べるために、TRIM5αと各因子をコムギ胚芽翻訳系にて合成して混合し、蛍光共鳴エネルギー移動を利用したアルファスクリーンシステムでタンパク質間相互作用を測定した。その結果、TRIM5αはTAB2とのみ相互作用していた。この相互作用はアカゲザルのTRIM5αでは弱く、種特異性が観察された。また、TAB2のN末端半分では全く結合シグナルが観察されず、TAB2のC末端半分にわずかなシグナルが観察されるのみで、TRIM5αとの結合にはTAB2の構造全体が必要であると推測された。また、RINGと隣のB-box領域を欠くTRIM5αではシグナルが半減するのみだが、PRYSPRY領域を欠くTRIM5αではシグナルが全く観察されないことから、TAB2との結合にもPRYSPRY領域が必要であると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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